SOLUTION

ソリューション

ソフトバンク コマース&サービスが業務効率化をチャットボットで推進! そこに秘めた狙いとは ?

ソフトバンク コマース&サービス株式会社 五味愛子氏(左)、クリエーションライン株式会社代表取締役 安田忠弘氏

AI(人工知能)とともに、近年話題となることも多いチャットボットは、今まさに業務への導入が始まっている。社内外のFAQ対応などで業務改善の効果を発揮して、人手不足の解消につながるのではないかと期待されているのだ。

そんな中、IT関連サービスの提供を行なっているクリエーションライン株式会社(以下、クリエーションライン)が、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム Microsoft Azure を活用した自動学習機能を持ったチャットボットをリリースする。これまで、マイクロソフト関連サービスの提供で豊富な実績を有する同社は、同じくマイクロソフトのサービスの大手ディストリビューターであり、現在特に Office 365 や Microsoft Azure に注力しているソフトバンク コマース&サービス株式会社(以下、ソフトバンクC&S)とともに、Azure を用いたリーズナブルかつ高機能なチャットボットの開発に成功したという。

「インテリジェントChatbot」 と名付けられたこのソリューションについて、今回はソフトバンクC&S の五味愛子氏とクリエーションラインの安田忠弘氏にお話を伺った。

FAQ対応に威力を発揮!クリエーションラインがリリースするインテリジェントChatbot とは

チャットボットというと、最近は多くの企業がリリースしているが、その中でもクリエーションラインの インテリジェントChatbot はどのような特徴があるのだろうか。企画に関わった五味氏は、このように説明する。「Azure で開発することで、わずか3カ月という短期間で必要な機能を盛り込むだけでなく、BIツールなどの連携も可能にしたチャットボットを開発することに成功しました。開発期間の短縮により、ユーザー様にはリーズナブルな価格で、かつ高機能なチャットボットをご提供することが可能になります。このインテリジェントChatbot を活用することで、企業が行なっている社内外のFAQ対応が劇的に効率化できる可能性があります」
インテリジェントChatbotについて説明するソフトバンクC&Sの五味氏

開発にあたっては、クリエーションラインが全面的に協力。アジャイル開発や DevOps によるソフトウェア開発を売りにしている同社との協業により、世の中に出回っているチャットボットとは、一線を画すソリューションの開発に成功した。

ユーザーにとってのメリットは価格や機能だけではない。活用を始めるまでの、「導入障壁の低さ」も大きなメリットの一つだ。

導入障壁を極限まで下げた インテリジェントChatbot の導入フロー

導入までの流れを、安田氏はこのように説明する「基本的には、エクセルなどにFAQの対応表を準備いただければ問題ありません。また FAQ が企業のホームページなどにまとめられている場合は、Azure のラインナップの1つであるQnA Maker にデータを取り込めば、考えられる質問と回答を全て洗い出してくれます」
ソフトバンクC&Sと共同でインテリジェントChatbotを開発したクリエーションラインの安田氏

このように、導入障壁を極力低くして、さまざまなユーザーへ展開できるよう工夫されているチャットボット。しかし、本当に簡単に導入できるのか、まだ不安を残すユーザーもいるだろう。その点について、安田氏はこんな例を挙げている。「ユーザー様へはコンサルティングプランの用意も検討しています。チャットボットの導入はまだまだ世の中で始まったばかりでどうすれば良いかわからないお客様も多いでしょう。そのようなお客様のお手伝いをできればと考えております。実際、このチャットボットの導入をソフトバンクC&Sで行う際、このコンサルティングの部分はわずかミーティング1回で完了しました」

1回のミーティングでコンサルティング完了!? 最低限の導入サポートで費用も抑える

実は、インテリジェントChatbot はソフトバンクC&S ですでに活用されている。その過程で行われた導入サポートについて、五味氏はこう振り返る。「弊社では、Offce 365 の導入前のお客さまからのお問合わせやご相談をいただくウェブサイト(Office 365相談センター)で、このチャットボットを導入しております。開発にあたっては、クリエーションラインと相談センター担当者でどのようなフローで目的の会話を成立させるのかというミーティングを行いましたが、ミーティングはわずか1回で終わり、チャットボットの実装に移ることができました」
ミーティングを通じて問い合わせのフローチャートが完成。これをもとにインテリジェントChatbotを実装する

ソフトバンクC&Sでは、Office 365 の問い合わせ対応の工数削減がテーマになっている。特に、ソフトバンクC&Sからは回答ができない顧客からの問い合わせも多く、本来受けたい問合せの対応ができないことや、そういった対応範囲外の問合せをどのように減らすかが課題となっていた。「そこで、問い合わせをいただく前にウェブ上に設置したインテリジェントChatbot によって弊社が対応すべき問い合わせかどうか自動的に振り分けることとしました。振り分けた結果、弊社が対応するものについては、そのままお電話をいただき、メーカーや他のベンダーが対応すべきお客様については、インテリジェントChatbot が正しい問い合わせ先を案内してくれます」(五味氏)
2018年3月末からソフトバンクC&Sで稼働しているインテリジェントChatbot 。その成果も期待されている

100% Azure で作るからできる!BIなど分析ツールとの連携

Azure で実装したインテリジェントChatbot 。ただ、導入して終わりではなく、問い合わせ内容を正確に分析しつつ、PDCAも高速化することができる。これについて、安田氏はこのように解説してくれた。「インテリジェントChatbot は、全てのログデータを保存、解析することができます。具体的には Azure 関連製品である Cosmos DB や Power BI と連携しています。チャットボットに問い合わせがあった内容を Cosmos DB に保存して、その内容を Power BI により分析して、その内容をグラフなどで細かく分類して出力することなどが可能になります。これにより、どのような問い合わせが最近増えているかなどの傾向も把握することができます。Power BI で出力するグラフなどは、あらかじめ雛形を用意していますので、すぐに利用でき、最新の結果を自動的に反映します。また、問い合わせ内容も、Azure のラインナップにあるLUISという自然言語処理のソリューションで分類することが可能です」
グラフの出力もPower BI で雛形を作れば、その後は自動で出力可能に

従来のチャットボットの場合、ユーザーの問い合わせのみ行うのが一般的だ。しかし、インテリジェントChatbot では、ユーザーの問い合わせ内容を詳細に分析することでニーズを掴み、ユーザーにマッチした製品やサービスを新たに生み出すこともできるだろう。さらに、安田氏は Azure で実装メリットについてこのように言及する。「Azure 関連製品だけでここまでの機能を実装することが可能ということもあり、開発工数も必要最小限に抑えることができました。また運用面についても Azure の機能を活用することで効率化を実現しています。」

インテリジェントChatbot は「ユーザーの声」で進化する

世の中で提供されているチャットボットとは一線を画すインテリジェントChatbot 。その今後の展開について、五味氏はこのように語る。「まずは5月中旬のリリースを目標にクリエーションライン様と開発を進めてまいります。また、インテリジェントChatbot はこれからも進化し続けます。クリエーションライン様と引き続き協業して行なっていきます」

インテリジェントChatbotの 今後のアップデートについては、安田氏は「一つ考えられるのは、翻訳機能の実装です。翻訳も Azure の機能の一つとして提供されているので、これを付加できればと考えております。また、インテリジェントChatbot については、まず市場に出してユーザー様からフィードバックをいただき、それをできるだけ早期にアップデートに反映していくというのが良いのではないかと考えています。先ほども述べたとおり、Azure で組んでいるからこそ、アップデートにかかる時間は最小限に抑えることができます。その特性を活かして、進化させます」と展望する。

今回、インテリジェントChatbot を開発したのは、「Azure を用いたソリューションを世の中に発信し、その可能性を知っていただきたい」(五味氏)というソフトバンクC&Sの思いからだ。しかし、この思いはただユーザーへ伝わるだけでなく、実際に利用されることで世の中の業務改善や働き方改革を大きく進めるかもしれない。インテリジェントChatbot には、そんな可能性も秘められている。


取材・文:山田雄一朗

あわせて読みたい記事!