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日本の設備保全業務を変える!ユニアデックスの「AirInsight Maintenance」とは?

高齢化、人手不足、この問題は工場運営の根幹である設備保全にもつきまとう。後継者の育成など対策は進めているものの、ベテラン社員のノウハウは簡単に引き継げるものではない。

この課題に対して、IoT機械学習の技術を用いて解決しようとする企業がある。それが、日本ユニシスグループのユニアデックス株式会社だ。ユニアデックスは設備点検診断サービスの提供を支援するIoTクラウドサービス「AirInsight Maintenance」をリリースした。

今回は、その開発の中心として関わっている、DXビジネス創生本部 IoTビジネス開発統括部 チーフスペシャリストの吉本氏にAirInsight Maintenanceの詳細についてお話を伺った。

▲ユニアデックス株式会社 DXビジネス創生本部 IoTビジネス開発統括部 チーフスペシャリスト吉本氏


AirInsight Maintenanceで生産設備のメンテナンスを効率的に

ユニアデックスは、ICTインフラストラクチャの総合企業。ハードウェアからネットワーク、ソフトウェアを企画から設計、構築、運用・保守までワンストップでサービスを提供している。

そして、ユニアデックスは Micrsoft Azure などのクラウドを活用したアプリケーション開発でも高い技術力を持っている。その技術力が、AirInsight Maintenanceの開発でも存分に活かされている。

AirInsight Maintenanceでは、どのようなことが可能なのか。

「AirInsight Maintenance は、IoTと機械学習によって、工場内部にある生産設備の状況を無人で点検を実現します。設備の振動をセンサーで感知して、その情報を機械学習の手法を用いて分析します。その結果がある基準値を超えると、アラートが発生して保全担当者がその状況をわかるようになっています。これにより、設備保全にかかる人員を削減することができます」(吉本氏)

▲AirInsight Maintenanceのサービス概要

この技術によってメリットがあるのは、生産設備を持つ企業だけではない。そのメンテナンスを事業として展開している設備保全メーカーにとってもメリットがある。

「私たちが現在考えているのは、設備保全メーカー様と協業して、AirInsight Maintenanceを展開することです。設備保全は、ITの力だけでは解決できない部分があります。会社ごとに故障と認定する基準は違いますし、センサーを取り付けることができる位置も異なります。当社は、設備保全の企業様のタイアップを組んで、OEMでソリューションを提供できればと考えております。ノウハウを持つ設備保全の企業様とうまく連携することで、AirInsight Maintenanceの展開はよりスムーズに進むのではないでしょうか」(吉本氏)

また、AirInsight Maintenanceを導入するまでの期間も大きなメリットになるだろう。

吉本氏は「データ収集の仕組みが構築されていれば、1ヶ月もかからないでしょう。設備診断の専門家を招くことが難しい企業様にとって、必要最低限のコストで設備保全業務のクオリティーを上げることができるでしょう。また、導入前の検証段階でも、当社のデータサイエンティストが支援します。設備の故障と認定する基準をクライアントとディスカッションしながら決めます」と語る。

▲AirInsight Maintenance のビジネスモデル


高齢化、人手不足、設備保全……、製造業が抱える現状とは

しかし、なぜAirInsight Maintenanceのような設備診断サービスが求められているのだろうか。そこには、日本全体が抱える課題が、設備保全の分野でも同様に起こっていることがある。

「設備保全の世界でも、担い手の高齢化や人手不足が深刻になっています。若い担当者を採用して、その技術が途絶えないように取り組みが行われていますが、ベテラン社員が持つノウハウは簡単に伝承できません。音や触感で設備の状態を把握できるようになるには長年の経験が必要です」(吉本氏)

また、設備保全の世界では、故障の再発防止技術を向上させたいというニーズもある。

「より綿密に点検したい、オーバーホールの時期を的確に予測したいという要望はもちろんあります。今より正確に故障予兆することができれば、設備の故障を未然に防ぐことができます。この課題を解決する手段としても、AirInsight Maintenance のようなソリューションは必要になるでしょう。また、故障検知の基準も企業様によって異なります。その点も踏まえながらソリューションの導入をご提案いたします」(吉本氏)


設備保全を理解したデータサイエンティストが開発

IoTやAIなど最新テクノロジーを駆使して開発されたAirInsight Maintenanceだが、その開発過程では、もともと製造業の企業との取引が多く、設備保全についても知見が得られるユニアデックスならではの立場を生かしている。

「私たちは、ITの専門家であり、設備保全については詳細な知見はほとんどありませんでした。そこで、設備保全に精通したコンサルタントの方をお招きして、その方からレクチャーを受けて、開発を進めました。現場で求められているのは、非常にハイレベルな診断で、これをITに落とし込むには専門家の力を借りないと難しい。AirInsight Maintenanceが開発できたのは、当社のデータサイエンティストたちの力だけでなく、設備保全の専門家の力も大きいものでした。また、当社のデータサイエンティストもISOの資格を取得して、設備保全に関する知見を深めています。これが当社の最大の強みではないでしょうか」と吉本氏は説明する。

ところで、AirInsight Maintenanceは Microsoft Azure によって構成されている。Azure を用いた理由について、吉本氏はこう述べる。

「マイクロソフトは、日本国内の法人ビジネスについて豊富な経験を有しております。ユニアデックスもマイクロソフトと綿密に連携を取って、ソリューションを提供してきました。Azure は、IoTプラットフォームとして非常に開発しやすく、開発コスト、運用コストの削減を実現します。また、当社のようなパートナー企業に対しても開発のサポートなどしっかり行ってくれます」

AirInsight Maintenanceの開発には、Azure の存在が大きかったことが、吉本氏の発言からうかがえる。


大手企業との協業も着実に進む

AirInsight Maintenanceは2018年度から本格的にサービスを展開していく。2017年はその第一歩として、住友精密工業株式会社と協業を進めて、AirInsight Maintenanceのプロトタイプを活用した実証実験を開始した。

「わずか1ヶ月の準備期間で効率的に立ち上げることができるなど、AirInsight Maintenanceのメリットも見えはじめています。(吉本氏)

また、2018年1月には、株式会社NTTドコモともAirInsight Maintenanceの提供を開始している。吉本氏は「当社は、ドコモ、マイクロソフトとIoTビジネスで協業しております。AirInsight Maintenanceもドコモの『docomo M2Mプラットフォーム』とセットで提供することで、セキュアなモバイル回線を利用して運用することができます。また、現在複数の企業と協業について話し合いを進めています」と展望を語る。

AirInsight Maintenanceのようなソリューションは、大企業のみならず生産設備を持つ中小企業にとっても必要となるだろう。むしろ、少ない人数でより効率化を目指さなければならないという点では、中小企業の方が導入効果が高いかもしれない。

AirInsight Maintenanceの今後の展開は、日本の生産現場に大きな影響を与えるものになるのではないだろうか。


取材・文:山田雄一朗

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