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【事例紹介】 IoTで中小製造業の生産性向上に大きく貢献!「IoT GO」で生産現場が変わる

IoTの実用化が勢いを増す昨今、ビジネスへの拡大も加速している。なかでも、製造業におけるIoTの導入は、作業員の生産性向上はもとより生産設備の稼働状況の「見える化」など、業務全般の改革につながることから、サービス開発に大きな期待が寄せられている。

こうした製造業向けIoTサービスのひとつが、2018年5月発売の「IoT GO」。クラウドサービスやソフトウェアを手掛ける株式会社マイクロリンクと、関連会社である金属加工メーカー・久野金属工業株式会社が、Microsoft Azure を利用して共同開発したサービスだ。

そして、サービスの基盤となる Microsoft Azure の提供と販売支援を行うのが、Microsoft Azure のCSP(従量課金販売)ディストリビューターである東京エレクトロンデバイス。同社の取引先はその多くを製造業が占め、Microsoft Azureを利用した製造業向けIoTソリューションの開発・販売の支援に大きな役割を果たしている。

「IoT GO」は、初期費用0円ではじめることができ、中小製造業のIoT導入の障壁が大きく下がる画期的なサービスとして注目される。開発の過程や、具体的なサービス内容を詳しく聞くとともに、支援を行う東京エレクトロンデバイスにも話を聞いた。

製造ラインのシステム機器×IoTで稼働率を「見える化」したい

「IoT GO」の開発は、久野金属工業が抱いていた課題感に端を発するという。つまり、製造業の現場から生まれたサービスということだ。これが類似のサービスとは大きく異なるところだろう。久野金属工業専務の久野功雄氏は次のように振り返る。

「久野金属工業は、自動車部品の製造をメインにしています。電気自動車やハイブリット車などに用いる高難度高精細な部品を扱っているのですが、それまでニッチだった次世代自動車の分野がメジャーに移行。生産数が10倍に増加するなど、これまでの生産設備では不足が見られるようになりました。ただ、安易に設備を増やすことは、会社のリスクを高めることにもなりかねません。それはできれば避けたい、ではどうすれば……と考えていたところに、ひとつのソリューションとして、既存設備の生産性向上を安価に取り組めないか検討しました。

現在、導入している設備の稼働にムダはないか、100%活かすためにはどうすればいいのかを検討する中で、生産の稼働率を定量データで可視化させるためのIoTの活用に目を付けたという。

「これまでも稼働率は収集していましたが、いろいろなフィルターを通して出てきた数値だったので、厳密さに欠けるように感じていました。そこで、直接設備からデータを取れるセンサーを利用して客観的な稼働率を把握し、製造ラインのポテンシャルを見極めたいと考えました。

そうすることで、たとえば稼働率が高いと思っていた高負荷ラインも、実は想定以下の稼働率だったことが分かり、『生産性30%向上させれば追加設備しなくてもできそうだ』という判断も可能になります。もしかしたら数億円の設備投資を決断していたかもしれないところを、現状改善で生産量アップにつなげられると考えました。」(久野金属工業・久野功雄氏)

▲取り付けられたセンサー
▲一目で稼働状況が確認できる


初期費用0円!リスクフリーでIoTを試してもらいたい

こうした構想を具体的な製品に落とし込むべく開発を委託したのが、久野金属工業の関連会社で、30年来のパートナーとしてソフトウェア開発を担ってきたマイクロリンク。製造業に寄り添ったサービスを得意としている。マイクロリンク代表取締役社長の久野尚博氏は、「IoT GO」の特長について次のように話す。

「『IoT Go』は、マイクロリンクが持つコンピテンシーと製造業のノウハウが融合したサービスです。これまで、稼働率を集計して出しても、工場のラインで業務にあたる一人ひとりにまで数値を浸透させることが可能かというとそれは難しく、管理者の閲覧に留まっていることがほとんどでした。しかし、『IoT Go』 はユーザーIDとパスワードがあればスマホ端末から、稼働率をリアルタイムで表示させることができます。ラインの状況は0.1秒単位で常に集計されているので、1部品あたりのサイクルタイムをすぐに把握できます。これにより改善ポイントを正確に掴めるのです。」(久野尚博氏)

▲久野金属工業・久野功雄氏(左)と、マイクロリンク・久野尚博氏(右)

稼働率の改善はとても時間と手間のかかる業務で、余裕がないと着手できない。そこで力を発揮するが「IoT GO」である。まず、データの集計にかけていた労力が見える化ツールによって自動化され、改善箇所の把握も短時間で終わらせることができるのだ。

▲「IoT GO」は誰でもすぐ「見る」ことで確認ができるため、それだけでも従業員の意識が変わり稼働率改善の効果があったという

こうしたIoTサービスは需要がある一方、導入に莫大な費用がかかったり、管理運用のための人材が必要だったりしたことから、中小企業にはなかなか手が出しにくいのが現状だった。しかし、「IoT GO」は簡単なセンサーの取り付けと、データ送信のためのネットワーク設置だけで運用でき、初期費用ゼロ。従量課金制を採用していることから、低コストではじめることができるので、導入障壁はかなり低いと言うことができる。

「中小企業がIoT導入に踏み切れない最大のネガティブ要因は、初期費用だと思います。さらに、専任者がいないことにより、これまでのIT化より構成要素が多いIoTの導入に二の足を踏んでしまうのではないでしょうか。その点、『IoT GO』は内部にシステム系に精通している人材がいなくても運用できますし、かつ初期費用が0円ということで導入障壁がほぼなく、リスクフリーで試せるIoTというのが最大のメリットです。中小企業がIoTを導入していくことは、インダストリー4.0の中核になってくるはずです。それよって日本の中小企業も力を付ける。世界で勝てるような中小企業が、日本に多くなることに貢献できるのではないかと思います。」(マイクロリンク・久野尚博氏)



東京エレクトロンデバイスが販売網の支援を実施

製造現場の「ムリ・ムラ・ムダ」を一掃するべく、IoTを浸透させていくことを目指している久野金属工業とマイクロリンク。現在、導入を検討する企業からの問い合わせをはじめ、システム機器の中古設備会社から「IoT GO」を組み込んだ状態で販売したいとオファーもあったという。

そして、「IoT GO」の構成要素として欠かせないのが、Microsoft Azure である。今回の開発にあたり、Microsoft Azure を提供するとともに、ソリューション販売の支援もしているのが、東京エレクトロンデバイスだ。営業担当の中村悠太氏は、同社の支援内容について次のように話す。

「東京エレクトロンデバイスは、Microsoft Azureと自社製品やサービスとを組み合わせて販売いただけるリセラー様に対して、様々な販売支援プログラムをご用意しています。たとえば、課題感を抱く弊社のお客様に対してリセラー様のIoTソリューションをご紹介したり、20年来のビジネスパートナーである日本マイクロソフト社と東京エレクトロンデバイスが共同で展示会のブースを提供し、リセラー様にソリューションを展示していただたりといった取り組みも実施しています。」(中村氏)

▲東京エレクトロンデバイス・中村悠太氏
▲東京エレクトロンデバイスの営業支援プログラム

「IoTサービスを世の中に広める一助になれたら」と中村氏。今後は、リセラー様のIoTソリューションを紹介するセミナーも検討しているとのことで、営業的なサポートを強化したいという。

3社のシナジーにより誕生、販売網を広げる「IoT GO」。日本のモノづくりを根底から支えるソリューションになることは間違いなさそうだ。


取材・文:末吉陽子

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