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新型iPadは学校に広がるのか?タブレット活用にみるAppleの野望

米国時間2018年3月27日に発売された新型iPad。低価格帯でありながらApple Pencil対応ということで注目を集めている。

教育ICT化が推し進められるなか、学校教育でのタブレット活用もまた本格化している昨今、Appleが低価格帯のiPadを発売した狙いはなにか。学校教育におけるタブレット活用の現状とAppleの狙いを追う。


学校教育におけるICT活用の現状

「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」、これら3つの側面を通して教育の質の向上を目指すICT教育。
文科省は平成26~29年度まで1,678億円(単年度)の地方財政措置をとり環境の整備を進めてきた。アクティブラーニングやデジタル教科書もその一環だ。

ただし、設備面の充実は必須であり学校間や地域間の格差が課題となっている。
PCルームはもとより、電子黒板やプロジェクターの整備など、ICT活用にかかるコストは大きく自治体の予算や意識面の課題も大きい。また、教育の情報化を推進するための人材に関しても、とりわけ地方では不足しているのが現状だ。

現行の授業にプラスしてICTを活用することで効果はもちろん期待できるもののハードが追い付いていない。ICT支援員の育成も急務となる。
なにかと、課題が付きまとうICT活用。それとは一線を画すのがタブレット端末だ。Wi-Fi環境さえ整っていれば、誰でも簡単に使用が可能だ。
同時に、その操作性の簡便さから、教育への有効性も大きいとされる。

平成28年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」(調査年月は平成26年)によれば、小・中・高など33,925校、児童生徒数11,981,298人に対して、タブレット端末の台数は373,475台となっている。

この時点ではまだ多い数字ではない。しかし、学習指導要領が改訂され小学校でのプログラミング教育も必修化となるあおりも受け、急速にICTの波が押し寄せている。


米国のタブレット活用事情

EdTechの流れが進むなか、IT発祥の地アメリカではタブレット端末の導入が急ピッチで進んでいる。導入に積極的な事例と、少し異なる事例をご紹介したい。

  • カリフォルニア州のサンディエゴ統合学区
米国でも屈指のタブレット端末の大規模導入学区。2009年より教室のICT化プロジェクトに取り組んでおり、2014年の時点で、10万台の児童・生徒用タブレットを完備し、学習のICT化に取り組んでいる。
個々が端末を持ち歩き、学校のシステムに接続、タブレットを利用し課題や学習内容を説明したり、連絡や情報交換をしたりする。アメリカは人種も多様であり、経済的格差も大きい。
この地域は比較的貧困率の高い地域ではあるものの、教育機会の均等化を目指すということを大きな理由としてタブレットの導入が行われた。

  • シリコンバレーのハイスクール
一方、多くのIT企業が立ち並ぶシリコンバレーの現状は少し異なる。
ある学生に学校でのICTの現状を聞いてみたところ、彼女の通っているハイスクールには1人1台といったタブレットは設置していない。しかし、PCやタブレットの持ち込みは自由であり、多くの学生がいずれかを持ち授業に臨んでいる。
もちろん、授業中にそれらを使うことも自由であり、何ら束縛はない。強いて言うならば盗難などに注意すべきということだろうか。
特に学校側で用意しICTに力を入れるといった雰囲気はなく個々の生徒が、自らの方法で自由にICTを活用した学習を行っている。

アメリカと一口に言っても住んでいる地域、経済的な問題により、ICTの現状は異なる。しかし、教育にICTが確実に浸透しているのは言うまでもない。


新iPadを投入したAppleの狙い

この3月に発売されたiPadは教育市場への参入をターゲットとしている。iPad Proが69,800円からであるのに対し、37,800円という低価格帯ながらApple Pencilに対応した。
そもそも、Appleはもともと教育分野での展開をすすめていたがアメリカの教育市場ではGoogleに大きく後れを取っていたという現状がある。

Google Apps for EducationはGoogleが展開する教育サービスだ。
Gmail、Google カレンダー、Google Driveなどを利用し、教師と生徒、生徒同士でのコミュニケーション、ドライブの共有により課題の作成や提出を容易とした。ペーパーレスにすることで、「宿題を忘れた」などというトラブルも防止できる。

Googleが展開する無料のドライブは完全にアメリカの教育市場の手綱を握っていた。

対するAppleは新型iPadの発売を機に教育市場への巻き返しを図る。そもそも、3月27日イベントが開催されたシカゴは全米で3番目に大きな学区を持つ。
ここにもまた、教育市場への強い執着がうかがわれる。Appleは教育分野でのiPad使用を活性化させるために教育用アプリの「Classroom」をバージョンアップした。また、新しいアプリである「Schoolwork」の提供により、メールを使用せずに、先生と生徒間の課題のやり取りを容易にしている。

これは、Gmailを利用せずにAppleのiPadのみで教室運営が可能なことを意味する。加えて、クリエィティブな体験を可能とする「Everyone Can Create」、1,500人分の管理が可能な「Apple School Manager」、教育者向けプロフェッショナル支援ツール「Apple Teacher」など、教育市場への鼻息は荒い。


日本の教育現場はどう変わるのか

日本の学校でのタブレット活用は欧米に比較しておくれを取っていることは否めないものの、確実に浸透しつつある。
しかし、iPadはもとより、タブレットの教育への有効性は語るまでもない。人はゲームには多くの時間を割くことを拒まない。そうしたゲーミフィケーション的な発想にもタブレットによる教育はマッチしている。
教育のICT化が進むなか、Appleの攻勢はいっそう続くだろう。


<参考・参照元>
新iPadとカリキュラムの発表、教育市場で巻き返せるか--Appleニュース一気読み - CNET Japan
iPad - Apple(日本)
統計データを探す | 政府統計の総合窓口
アメリカに見る「一人1台のタブレット端末活用」事情 | CHIeru.WebMagazine
アップルが学校向けに発表した新ツールを一挙紹介 - CNET Japan
資料3 教育の情報化について ―現状と課題― (PDF:4238KB) - 文部科学省

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