SOLUTION

ソリューション

【インタビュー】金融機関のDXを加速!FIXERと日本マイクロソフトが牽引するクラウド移行PJ

インダストリー・イノベーション時代において、すべての産業で新しい価値創造が急がれている。そうした中、クラウドシフトが立ち後れているのが金融分野だ。もはや金融機関にとってのライバルは同業にとどまらず、新興のテックカンパニーまで裾野が広がる今、クラウドをベースにしたデジタルによる武装化は避けては通れない。

このような状況下で、日本マイクロソフトは Microsoft Azure のトップベンダーである株式会社FIXERと連携。金融機関の既存ITシステムをクラウドへ移行させ、モダナイゼーションを目指す「デジタルトランスフォーメーション変革特別支援施策」を掲げ、2018年9月末まで無償で「クラウド移行診断」「近代化ギャップ診断」を提供する。


施策の提供開始後、地方銀行をはじめとする金融機関からの問い合わせが相次いでいるという。そこで今回は、システムの設計構築からクラウド移行後の保守運用まで、ワンストップのサービスを展開するFIXERを取材。営業企画部ジェネラルマネージャーの中尾公一氏に新サービス立ち上げの背景や今後の展望について伺った。


クラウド移行はコスト削減に留まらない“攻めの投資”に

FIXERは、Microsoft Azure を活用したIT資産のクラウドへの移行(Lift & Shift)から、優れた UI/UX を武器とするクラウド上でのインターネットバンキング実現まで、金融機関のデジタルトランスフォーメーションを様々な確度から支援している。

すでに北國銀行や紀陽銀行などの地方銀行とは、Microsoft Azure を活用したプロジェクトを実際に進行しているほか、将来的にクラウド活用を見据える複数の地方銀行や保険会社とは、既存オンプレミスサーバーのクラウド移行可否の評価やクラウド上での稼働検証(PoC)といった具体的な取り組みを進めている。


今後ますます加速するであろう金融機関のクラウド移行の背景について、FIXERの中尾公一氏は、次のように考察する。

「国内でパブリッククラウドの利用が進んだのは2010年頃からです。クラウドが登場したばかりの頃は『コストは下がるが信頼性に欠ける』という認識がありました。しかし2013年頃から動画配信など一部の用途においてコスト・品質ともにクラウドのほうがオンプレミスに勝る状況が生まれたほか、ビジネスとして当たりはずれの大きいソーシャルゲームの世界でインフラへの初期投資を抑制できるクラウドが採用され始め、そのあたりからエンタープライズでのクラウド利用が広がり始めました。2015年頃にはIoTやAI/機械学習の領域を中心に“クラウドでしかできない”仕組みが次々と登場し、テクノロジーをビジネスの武器として活用するなかでクラウドは不可欠な選択肢となりました。こうした流れを受け、従来はセキュリティへの不安を理由にクラウドの活用に慎重な姿勢を見せていた金融機関も、昨年あたりからクラウド活用の検討に本腰を入れ始めたように感じています。」(中尾氏、以下同)

ただし、日本の金融機関におけるクラウド活用の方向性はコスト削減等の守りのIT投資が主眼になりがちであり、クラウドのテクノロジーが持つ可能性をまだまだ引き出せていないという。

「日本では、クラウド化の第一義的な目的として『コスト削減』を挙げる金融機関が多い印象があります。一方で、欧米ではビジネスの競争力強化につながる領域、たとえばエンドユーザーとのコミュニケーションやデジタルなマーケティングの領域でクラウドを使う傾向が強く見られます。我々は日本の金融機関にも、欧米のような発想でクラウドを攻めの領域に活用していただけるよう提案しています。」

テックカンパニーなど異業種による金融事業への参入で、「銀行の敵は銀行だけでなくなる」

「金融機関においても、どれだけのスピード感でデジタルトランスフォーメーションに取り組めるかどうかが、今後の競争優位性を左右するはずです。」
その背景には、いまや銀行のライバルは金融機関だけではないという現実がある。

「1日における平均可処分時間は約2.6時間と言われています。睡眠時間を入れても1日の10.8%ですので、ある程度まとまった時間が自由に使えるのかと思ってしまいますが、実際は5分、10分といった帯で細切れに分散しています。いわゆる隙間時間というものです。そのわずかな時間の帯をさまざまなサービスが奪い合っているというのが、いまデジタルの世界で起きていることです。そして、その激しい競争を勝ち抜いたサービスが、物と物の価値の交換、つまり決済機能までサポートし始めています。デジタルの世界では、伝統的な銀行が提供してきたような機能の一部において、すでにバンクパッシングが起きているのです。」

一方で、伝統的な金融機関にはリアル店舗やこれまで培った信頼性、マーケットシェアなど、デジタルだけで金融サービスを提供するプレーヤーにはない強みがある。リアルのアセットをデジタルと有機的に融合させていくことで、伝統的な金融機関にしかできない力強いチャネル戦略が可能となる。テクノロジーによるこうしたビジネス変革を一刻も早く金融機関が実現できるよう、金融分野のシステム構築を手掛けるSIベンダーなど11社(設立時)が集い「金融デジタルイノベーションコンソーシアム」を組成。FIXERはそのワーキンググループのひとつをリードする役割を任されている。

「日本の伝統的なSIerは、クライアントにシステムについての要望を聞きに行ってしまいがちです。しかし、クライアントも変化の激しい世の中を生き残るために新しいチャレンジをしているなかで、どのようなアーキテクチャやテクノロジーを採用すれば望むものが出来上がるのか、明確な解を持っているとはかぎりません。クライアントが何とかひねり出した要件に基づき、システムを毎回ゼロから構築し、その工賃を請求することで日本のIT業界は成り立ってきました。はたして、そうして作られたシステムがそのクライアントの武器としてどこまで機能してきたのでしょうか。」

そこには大きな疑問を持つと中尾氏はいう。

「日本のIT産業の構造的な闇が、日本企業の競争力を奪ってきたと考えています。とくに、金融はその最たる領域でしょう。デジタルが企業の競争力に大きなインパクトを持ち始めた今こそ、テクノロジーをビジネスの価値に変える力を業界全体で強化すべきときです。金融機関が、クラウド上で次々と生み出される魅力的なサービスを適切かつ迅速に取り込んでいけるよう、効果が実証されているアプローチを我々がラッピングしてご提供しようというのが本コンソーシアムの狙いです。ITで下手に車輪の再発明をするのはもうやめましょうという話です。」

最後に、読者へのメッセージをもらった。

「我々は、クライアントがこれからのデジタルな競争を勝ち抜くための武器(テクノロジー)を提供します。金融という機能は依然として存続し続けますが、これからはその機能を必ずしも従来の金融機関が提供しなくてもよい時代がくると予想しています。そのような時代において、大手・地域の金融機関はどのような価値を提供し、この金融大競争時代を生き残るのか。われわれ自身の技術力・提案力も常に磨きつづけながら、その答えを見つけるためのお手伝いをしていきたいと考えています。」


◼️取材・文:末吉陽子



【FIXERのエンジニア2名がMicrosoft MVPを再受賞】
Microsoft Corporationが主催するMicrosoft Most Valuable Professional(MVP)アワードプログラムの「AI」カテゴリーにおいて、当社エンジニアの千賀と山本がMVPを再受賞しました。
FIXERでは、機械学習を活用し、音声認識や顔認識、意図解釈といったCOGS(Cognitive Services)やRobotics技術と組み合わせた クラウドAI(人工知能)やインターネットバンキングでの不正取引を監視・検出するAIなどを金融機関向けに開発して参りました。また、クラウドAIを用いた顧客応対システムやFAQエンジン、コールセンター自動応答システムなどを開発し、Microsoft Azureを中心としたクラウド分野におけるAI開発を牽引しています。
千賀と山本は、日本マイクロソフト主催「de:code」や「Microsoft Tech Summit」への登壇のほか、日経クラウドファースト/日経コンピュータ主催『作って分かる「クラウドAI」実践講座(2017年~)』講師やAIに関する様々な寄稿実績があります。
今後も、MVPを受賞した千賀、山本をはじめとする高い技術力と豊富な実績を持つクラウドエンジニアたちと共に新たな価値を創造し、お客様に感動を与えるサービスの提供に努めて参ります。

あわせて読みたい記事!