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ブロックチェーンが実現する「デジタルID」が社会に与える影響とは?

個人情報はブロックチェーンで管理する。2020年には、それが世界規模で実現しているかもしれない。
2017年6月、マイクロソフトとアクセンチュアは、「ID2020サミット」でブロックチェーンを活用したデジタルIDシステムのプロトタイプを発表。
世界には、法的な身分証を持たない人が約11億人おり、医療や金融などのサービスを受けられないなどの制約を受けている。


マイクロソフトとアクセンチュアがデジタルIDソリューションを展開へ

2017年6月、マイクロソフトとアクセンチュアは共同で国際的なデジタル認証プログラム「ID2020」を支援するブロックチェーン・ソリューションの開発を行うと発表した。
高度な認証技術が求められる入国管理システムの提供で世界的に有名なアクセンチュアとAzureとブロックチェーンを組み合わせたBaaS(Blockchain as a Service)をさまざまな業界へ提供しているマイクロソフトという最強タッグがデジタルIDの普及に向けて協業する。

もともと、アクセンチュアは生体データを利用した認証システムを提供している。指紋や目の虹彩など複数の生体情報を組み合わせることで個人の識別制度を向上させることに成功している。
この生体情報をブロックチェーンに記録することで、秘匿性や安全性を確保して利便性も向上。運用はパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で行なっており、複数の機関から同一データへのアクセスを可能にし、情報共有を実現にした。

このデジタルIDはすでにプロトタイプは完成。2017年6月に国連本部で開催されたID2020サミットで発表されている。


なぜデジタルIDが求められるのか

デジタルIDの必要性が求められている背景。それは世界が抱えている社会問題と密接にリンクしている。
世界には、法的な身分証を持たない人がなんと11億人もいるという。住んでいる国や地域で紛争や政治不安などの発生が主な理由だ。そして、その11億人の人たちは法的な身分証を持たないため、本来であれば受けられるはずの医療や保険、金融サービスを享受できないでいる。

日本人は、この問題をなかなか自分ごととして捉えられないだろう。私たちは、公的な身分証を当たり前のように持っている。免許証やマイナンバーカード等がその典型だ。また、日本のパスポートはビザ無しで約180カ国に訪問できる。国内だけでなく、国外でも身分が保証されるのだ。

しかし、このような状況は世界的に見ると稀なケースである。
そこで、国連は官民共同で「ID2020」を立ち上げ、そこにマイクロソフトとアクセンチュアが加わるようになった。アクセンチュアの試算によれば、2020年までに75カ国以上、およそ700万人以上の難民の支援が目標だという。
また、ブロックチェーンで運用すれば、システムダウンのリスクがほぼゼロになるため、安定稼働させることが可能となる。


デジタルIDが普及するメリット

このようにデジタルIDは世界的な課題を解決するという重要な役割を担おうとしている。
難民の方の身分が証明されることで、避難した国で援助を受けやすくなるというメリットも生まれる。また、これまで受けられなかった医療、金融サービス等が享受できるようになり、より健康で経済的にも豊かな生活を送れるようになるかもしれない。
デジタルIDに学歴や職歴などが記録されることで、個人の持つ信用が担保されやすくなるだろう。

また、サービス提供者にとってもそのメリットは大きい。デジタルIDが普及することで、新たに11億人のマーケットが誕生する。
そして、そこにビジネスチャンスが生まれる。このチャンスをつかめれば、企業も大きく成長することが見込まれる。サービスを展開する最後のフロンティアはここにあるかもしれない。


ビッグブラザーの世界が到来!? デジタルIDに対する懸念も

一方で、世界的にデジタルIDを導入することで懸念されていることもある。
個人情報が一元管理されることで、それを把握できる立場にある人に権力が集中する可能性だ。

例えば、中国ではすでにアリババが提供する「芝麻信用(ジーマ信用)」が社会的に大きな影響力を持っている。
芝麻信用でスコアが悪い人は、公共施設の利用が制限されたり、就職や結婚まで制約を受けてしまったりすることが考えられる。
もちろん、スコアが悪い原因は犯罪歴など過去の行動における問題が考えられるが、人によってはプライバシーの侵害だと感じることもあるだろう。

また、もしこのスコアが第三者の手によって任意に変えられるとしたら、悪用されてしまうリスクもある。
現在のデジタルIDは、あくまで生体情報から個人を特定するというものだ。しかし、これが将来、学歴や職歴などさまざまなものに紐づけられた場合、それが適切に運用されるのか。
これは、新時代の個人認証のあり方を進める上で大きなテーマとなるのではないだろうか。


<参考・参照元>
デジタル アイデンティティに向けたパートナーシップ - News Center Japan
アクセンチュア、マイクロソフト社と共同で、国際的なデジタル認証プログラム「ID2020」を支援するブロックチェーン・ソリューションを開発
uPort.me
ID2020
通関|アクセンチュア

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