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ブロックチェーン技術は、金融をどう再設計していくのか?

新たな技術革命ブロックチェーンが金融をどう再設計していくのかについて、本人認証(デジタルアイデンティ)や銀行・金融業界の動向に触れながら、考える。新たな技術に対する再認識が、必要となっている。


金融をブロックチェーンが変えていく?

ブロックチェーンと聞くと新たな仮想通貨であるBitcoin(ビットコイン)を利用する為の技術のように感じるかもしれないが、実はブロックチェーンを用いる事で金融の仕組みが少しずつ変化し始めている状況がある。

2017年5月、米金融大手のシティグループはナスダック市場を運営する米ナスダック・インクとブロックチェーン技術で提携する事を発表しており、少しずつだがブロックチェーン技術の持つメリットを通じてさらなる業務拡大を考えている金融を営む企業も多い。

そもそもブロックチェーンとは分散型の情報処理・記録技術の一種であり、中央集権システムと比較しても、暗号技術を通じた高いセキュリティ性・リアルタイム処理・契約の自動処理化・低コスト化等の様々なメリットを持ち合わせている。ブロックチェーンには中心となるデータベースが存在しておらず、世界中の参加者たちのコンピューター上で分散して機能しているので、中央集権システムのように明確なサイバー攻撃の対象とはなりづらい側面が存在する。つまり、1人1人のユーザーが参加している事に大きな意義があり、常に開かれた公共性の高い新たな経済エコシステムだと言える。特に、ブロックチェーンがその他に技術と明示的に違う点は「ネットワーク上の個人たちが全ての取引を記録する台帳によって、常に情報を記録する事」にあり、無数に存在し続ける台帳はインターネットを通じて様々な端末に保存されながら、新たな取引記録を常に処理し続けている。常にどこかの端末上で情報が記録され続ける強固なセキュリティシステム、ブロックチェーンが私たちに大きな価値を与える源泉となると考えて良いだろう。

従来のシステムでは、ある一定領域の対象のセキュリティホールを発見し、その脆弱性を攻撃する事で悪意あるハッカーたちは犯罪を行ってきたわけだが、ブロックチェーンではそこら中に攻撃対象があり、どれかの端末がダウンしてもほかの端末が常にアメーバのように動き続けてくれる。また、Bitcoinのブロックチェーン技術では、取引データが個人情報と結びつく事がないので、機密性の高い情報が流出する恐れも存在しない。


ブロックチェーンのリアルタイム性が金融を革新する

ブロックチェーンの高いセキュリティ性や、個人が参加する事でシステム等の独自性も確かに大きなメリットだが、金融業界がいち早くブロックチェーン技術に興味を示したのは「金融取引」をリアルタイムに近いスピードで行える点にある。つまり、神経細胞(ニューロン)のように無数に存在する個人が、そのブロックチェーン技術を用いて個別に金融情報を書き込むことで、従来の取引システム以上に素早く決済を済ませてしまう事が可能だ。

とはいえ全ての金融上の決済が行えるわけではなく、将来的にはブロックチェーン技術を通じた新たな金融取引と決済が行われるという訳だ。資本主義を通じて活動する以上、お金の移動が今まで以上に高速化し、かつ高い安全性を保っているならば、最早それは利用しない手はなく、資本主義の血の流れとも言えるお金がより流動性を獲得する事で、発展途上国等も以前より発展しやすくなるだろう。

例えば、モバイル送金サービスを提供しているAbra(アブラ)は、ブロックチェーン技術を利用した国際送金ネットワークを開発しており、銀行窓口を介さずにそのままスマートホンで現金送金が行えるようになっている。その他にも米国ではおなじみのPaypal(ペイパル)や、新しい送金サービスZelle(ゼル)等も登場しており、ブロックチェーンを用いた個人の送金が当たり前のように普及し始めている。筆者としては、まるで金融の仕組みが新たに生まれ変わるような出来事が、日々ブロックチェーンを通じて起き始めていると感じている。


ブロックチェーンのスマートコントラクトも合わせて重要に!

ブロックチェーンを金融取引に利用する場合、複雑な契約を行う事も考慮されるが、その点もスマートコントラクトと呼ばれる手法で解決可能だ。

スマートコントラクトとは、契約詳細をブロックチェーンに事前に記録しておき、それら契約内容が正しく実行された時に金融取引を自動的に実行する仕組みの事を意味している。こうする事で、ネットワーク上に誰もが明示的な契約書を作成する事が可能となり、法的な役割を果たす文書とプログラミング技術とが組み合わさる事で、安全性の高い契約履行を可能としている。少しずつではあるが、金融と情報技術が組み合わさり始める事で、私たちの生活を一変させている事実がある事も理解出来るだろう。

さて、このようにブロックチェーンが金融の根幹となる仕組みを少しずつ上書きし始めており、日常的な革新の連なりが結果として私たちの生活をより便利にしてくれている点について言及してきた。金融とは、端的に言ってしまえば資本と資本とが移動しているに過ぎないが、以前のシステムでは柔軟性や拡張性が少なく新たな世界へと人類が前進するためには少し頼りなさも存在していた。また、常にブロックチェーンは個人が取引を記録していく事からも、個人のデジタルアイデンティ(本人認証)を行う際の重要な技術ともなるはずだ。新たな情報技術が金融や私たち自身を再更新し始めている事実を、再認識する必要があるのではないだろうか?


<参考・参照元>
事務局説明資料(フィンテックや決済高度化を巡る動向と今後の課題)|金融庁総務企画局
改正資金決済法等の施行|金融庁
P2P送金の新サービス「Zelle」が開始--若年層以外の取り込みも視野|CNET Japan
ゼロから学ぶブロックチェーン | 電通報

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