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ドローン革命が生み出す次なる奇跡は「Sky Magic」かもしれない

荷物輸送や農業肥料散布などに用いられているドローン。小回りのきく機体が利用しやすいのか、ドローンの様々な場面での活躍をよく目にするようになった。しかし、なかなかアートなどの娯楽面にまで進出できていないという現実があるように感じる。これからのドローンは本当に、輸送機としてのみの利用となるのか。ドローンの活用について、実例を紹介しながら考察していく。


デジタル技術 × デザイン = 新たな体験へ

ドローンが荷物輸送や農業肥料散布に利用される事例は増えている傾向にあるが、それ以外の新たな利用方法に関しては、なかなかその方向性が見出されていない。

日本では日立製作所が“デジタル技術 × デザイン”によって新たなイノベーションを生み出そうとしており、デジタル技術によって開発される製品群やサービスにデザイン思考を取り入れる事の重要性を説明している。
例えば、駅の混雑状況をスマホ確認できるアプリ「駅視-vision(エキシビジョン)」では、駅構内の改札・ホームの混み具合を監視カメラで撮影し、対象となる人々を青色や黄色のアイコンマークで抽象化したデザインを施した。
そうする事で、利用者の個人情報やプライバシー侵害リスクに対して配慮すると共に、駅利用者なら誰もが日常的に気になる駅の混雑状況に対するブレイクスルーを提示した格好だ。

このように、デジタル技術に対してデザインを組み合わせる事で、結果として新たな価値創造を行う事例は増加傾向にあり、情報や体験そのものをデザインする事が、今後の企業群にとって大事な戦略になるかもしれない。

ただし、今回の事例はインターネットとモノとが組み合わさった事例にすぎない。例えば、インターネット空間で表現されているデジタルアートが、現実空間にも滲み出して来ている場合はどうなるだろうか


ドローンはアート芸術的な側面を持ち合わせないのか

例えば、インターネットとドローンが組み合わさった事例はあるのだろうか。

実はドローンによる空間情報化を行う次世代サービス「Sky Magic」を『CATALYST』の運営企業であるマイクロアドが発表している。そのサービスでは、正しく同社の魔法でインターネットを現実世界へと連れ出して来てくれている。

「Sky Magic」 は高城剛氏をクリエイティブ・ディレクターに迎えて発信しようとしている次世代プロジェクト『MicroAd Magic!』の第一弾である。光と音にシンクロするドローンを使用し、主にイベント会場での新しい表現拡張としてドローンを利用していく。

引用元:Sky Magic Live at Mt. Fuji : Drone Entertainment Show - YouTube

同社が4月20日に発表している「Sky Magic live at Mt.Fuji : Drone Entertainment Show」では、富士山をバックに無数のドローンが夜空を駆け巡るアート表現を行っているが、まるで世界にキラキラと輝く金平糖が縦横無尽に動き回るような幻想的な事象で、それはPCの中に存在するはずのデジタルアートがそこに存在しているかのようだった。

そして、注目したいのはマイクロアドの渡辺健太郎社長のコメントだ。

引用元:“Sky Magic”発表会 空に絵を描くドローンとその未来 - YouTube

「ドローンを通じてインターネットが私たちの生きている現実世界リアルワールドに飛び出してくる」という表現を用いている。
つまり、インターネットが私たちの世界に存在し始める、いわゆる「Internet of Things(モノのインターネット化)」ではなく「Things of Internet(インターネットのモノ化)」が起きるだろうと言及している。
デジタル世界へと突入している私たちに対して、インターネットそれ自体が現実世界に情報技術を通じて生まれ始める時代が、次の革命だと言う訳だ。

「Things of Internet(インターネットのモノ化)」という概念の具体例としては、今回お伝えしているドローンを利用した「Sky Magic」だと定義しておけば理解が進みやすいはずだ。
端的に言い換えれば、今までは現実世界のモノがインターネットと接続していただけだが、既にインターネットにあった多彩なデジタル表現が現実世界のモノとして存在し始めているという事を意味している。

「Things of Internet(インターネットのモノ化)」という概念それ自体も高城剛氏の著作「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか ドローンを制する者は、世界を制す」で以前拝読した事がある程度なので、一般的に理解されているものとはいえないだろう。
とはいえ、いわゆるインターネットに存在していたモノが、現実世界にあたかもSF作品よろしく存在しながら、空間を情報化していく現象を今回のマイクロアドのプロダクト「Sky Magic」から感じ取って頂けたなら、幸いだ。


ドローンはどんな魔法をかけてくれるのか

現時点では輸送・空中撮影にドローンが利用される傾向が強い。つまり、ドローン自体がアート作品となる今回の取り組みは、新たなドローンの方向性を提示しているとも言えるだろう。

ドローンが輸送シーンにおいての利用は今後も考えられる事実としては必須といえる。とはいえ、日常的に私たちの頭上をドローンが飛び回る未来は中々想像しづらいのではないだろうか。
空中を飛び回るドローンがいつ私たちのいる地面に墜落しないかと疑問を持ちながらドローンを利用するより、限定された空間においてアート作品として存在させた方が、より有意義であると筆者は感じている。

もしかしたら、“アート・芸術”という観点から、『情報技術をデザインし直す事が未来を感じさせる産業プロダクト』として利用され続けるかもしれない。

インターネットに存在していた事象が、空間を新たに情報化する事で想像されていく未来が、既に私たちの眼前にやって来ている。いわば人間が頭の中で創造している日々のあれこれが、気づいたら私たちの現実世界に登場し始めているのだ。


<参照・参考元>
ドローンによる次世代サービス「Sky Magic」 | CATALYST
第5回:『サピエンス全史』に続く物語、そして人類は「データの神」に駆逐される〜連載・池田純一書評|WIRED.jp
IT Japan 2017 速報 - 「デジタルとデザインを組み合わせてイノベーションを起こす」、日立製作所の渡邉氏:ITpro
『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?ドローンを制する者は、世界を制す』高城剛(集英社)

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