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まばたきで動くスマートコンタクトレンズは、次にくるVRデバイスとなる!?

現在のVRデバイスは、ヘッドマウントディスプレイが主流となっている。しかし、価格や実用性の観点から、思ったように普及が進んでいないのではないかという声もある。
VR・ARデバイスは今後どのように進化するのか。そんな中、注目されているのがスマートコンタクトレンズだ。スマートコンタクトレンズとはどのようなものか、その現場に迫る。


VR・ARデバイスの「今」

現在のVRデバイスの中心は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)タイプが主流だ。数万円ほどの価格帯が主流を占めており、これを装着することでVRの世界に没入する。また、MR(Mixed Reality)関連のデバイスでいえば、マイクロソフトのHoloLensが挙げられる。これもHMDタイプで、ディスプレイに3Dコンテンツを表示させる。ここまで見てきたように、VRもMRもHMDを装着することが前提になっている。確かに、ユーザーをバーチャル空間に没入させるにはHMDタイプは最適かもしれない。しかし、これを装着し続けるのは、ユーザーにとっても負担ではないだろうか。

また、MRやARのように、今後、われわれの生活で頻繁に使えるようにするためには、HMDタイプではなかなか難しいだろう。このように考えると、今後デバイスの進化は、ほぼ必然と言えるのではないだろうか。そんな中、新時代のデバイスを開発しようと、メーカーではさまざまな取り組みが行われている。その一つが、スマートコンタクトレンズの開発だ。


グーグルが実験を進めていたスマートコンタクトレンズの技術

スマートコンタクトレンズとは、われわれが普段使うコンタクトレンズをディスプレイにして、そこにコンテンツを表示させようという動きだ。斬新な発想のように思えるが、このアイデア自体は意外なことに10年ほど前からある。実際、2008年にウサギを使った実験が行われたという。ウサギが見た世界は、64ピクセルで表示可能な世界。ウサギの目には、この世界がどのように見えたのだろうか。

この実験を進めたのは、当時、Google Xのディレクターを務めていたBabak Parviz氏だ。Google Xは Google Glass など革新的な研究プロジェクトを行う研究機関だが、すでにGoogleは、Google Glassの一歩先を見据えていたのだ。スマートコンタクトレンズを用いることで、私たちが普段から見ているものにレイヤーを加え、そこにコンテンツを加えることができる。この発想を10年以上前から持っていたことに驚きを感じざるを得ない。


サムスンやソニーなどが関連特許を出願

このスマートコンタクトレンズだが、現在はカメラセンサーを埋め込んで使えるよう、サムスンやソニーなどが特許の出願を行っている。サムスンは、スマートフォンで撮影した画像を、コンタクトレンズで鑑賞できるようにしている。また、まばたきで制御できるようにセンサーも組み込まれている。

一方で、ソニーはまばたきでカメラを制御できるよう特許を出願している。ソニーはスマートフォン向けの CMOSセンサーで世界の約半分のシェアを握っており、次世代の「金のなる木」として期待されている。今回の特許出願は、次世代のデバイスでも、カメラ向けセンサーでトップを取れるよう視野に入れているのかもしれない。

また、最近ではスマートコンタクトレンズではなく、目の内部にARなどの機能を持ったデバイスを埋め込んでしまう方法も構想されている。アメリカのOmega Ophthalmics社が開発しているものであり、目にレンズを埋め込むというアイデア自体は実際に視力の障がいを治す方法として既に一般的に用いられている。この施術は、アメリカで約360万人が受けている。このAR機能を持ったデバイスは現在も臨床実験と共に、開発が進められている。
このように、人間の目に直接アプローチするVR・ARの開発は着実に進んでいる。


 スマートコンタクトレンズが普及すると、私たちの生活はどう変わるのか?

一つ考えられることは、普段私たちがスマートフォンで見ているものを、スマートコンタクトレンズ上で見るようになることだ。

たとえば、スマートフォンで見ている経路案内。歩きながら、スマートフォンを見るのは、いわゆる「歩きスマホ」行為で危険を伴うことが多い。しかし、スマートコンタクトレンズであれば、コンタクトレンズのディスプレイ上に歩く距離や曲がるポイントがそのまま表示してくれるだろう。
さらに、アイトラッキングから、私たちが求めている情報を探し、飲食店やショッピングセンターの情報を自動的に届けてくれるようになるのではないか。このように、私たちは今まで以上により情報を受け取りやすくなり、利便性も大きく高まるかもしれない。


スマートコンタクトレンズの課題

一方で、スマートコンタクトレンズの関連技術は、まだまだ先になるだろうという見方が強い。人間の目というデリケートな部分に直接装着するものを扱うだけに、その安全性の十分な検証が必要となる。また、電源の確保なども課題になっている。これらをクリアしなければ、実用化までには至らない。さらに、私たちの視力自体にに影響を与えることはないのか気になるところでもある。

実用化までのハードルは高いとはいえ、VRやARが本格的に普及する上で使いやすいデバイスの開発は必要不可欠だ。今後の動向に注目したい。


<参考・参照元>
ARコンタクトレンズの可能性 | VR Inside
まもなく登場、スマートコンタクトレンズ :日本経済新聞
Googleの謎の秘密研究機関「Google X」の真実、その裏側に迫る - GIGAZINE
Omega Ophthalmics is an eye implant platform with the power of continuous AR | TechCrunch
目の中にレンズを埋め込みAR 臨床試験も開始 | Mogura VR - 国内外のVR最新情報

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