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未来の都市交通はどうなるか? ベルリン、ドバイ…世界の事例から考える

未来の都市交通のあり方について、日本でも議論が進んでいるが、海外では従来の常識を超えた都市交通の構想が打ち出されている。自動運転車、空飛ぶタクシーハイパーループ、地下トンネルを用いた高速移動、SFの世界でしか考えられなかったことが次々実現するかもしれないのだ。その最前線をお伝えし、未来の都市交通の可能性を検証する。


ベルリンの大学キャンパス内を、電気自動バスが走る

ベルリン医科大学・ベルリン交通・ベルリン州が共同し、2018年からベルリン医科大学内で無人電気バスのテスト走行を開始すると発表した。このテスト走行は、ベルリン医科大学の2つの大きな敷地内を4台の無人電気バスが最高時速20kmで、決められた停留所を通りながら3つのルートで走行するというものだ。ベルリン医科大学で行われる背景として、広大な敷地があり、かつ一般の交通道路から隔てられていることが挙げられる。また、敷地内には車道や歩道、信号があるだけでなく、人の往来や自転車、自動車、トラック、バスなども走行し、実際の一般道路に近い状況でテストできることも理由のひとつだ。そして、今回のプロジェクトの特徴は3つの団体の役割分担と言える。ベルリン医科大学は構内の道路や充電装置を提供し、ベルリン交通は無人運転について、実際に公共道路で利用する際の受け入れについての研究を担う。ベルリン州はベルリン医科大学とともに、その実用面について調査を行っているのだ。

このように、ベルリンでは未来の都市交通について、社会全体で取り組もうという動きが見られる。そもそもベルリンは、世界で初めて電気を利用した路面電車が走行し、ドイツで初めて地下鉄ができた都市だ。都市交通のフロントランナーを走ってきたという自負が、今回のプロジェクトにも表れているのだろう。


 ドバイでは空飛ぶタクシーとハイパーループが当たり前に!?

一方、中東のドバイでは都市交通について、さらに大きな構想を持っているのだ。なんと、2017年中に「空飛ぶタクシー」の試験飛行を実施することを発表している。この都市交通に空中を利用しようという試みは、空撮などに使われているドローンを1人乗りに改良した車両で「自律航空車両(AAV)」を用いて実施される。8つのプロペラで飛行中の姿勢を制御し、推進力を得る「空飛ぶタクシー」は道路交通庁(以下:RTA)が同年2月に発表したプロジェクトだ。なお、本プロジェクトで実際に使用される機体は、ドバイで開催された「ワールド・ガバメント・サミット」において公開されている。今回、ドバイで利用される空飛ぶタクシーは、中国広州市に本社を置くドローンメーカー、「広州億航智能技術有限公司」(イーハン)が開発したものだ。そして、現在このような技術の開発は各国のメーカーで行われている。日本でもトヨタ自動車の若手有志団体が、勤務時間外に活動する組織「カーティベーター」を結成し、空飛ぶ自動車「スカイドライブ」を開発しているのだ。こちらは2020年の東京オリンピック開幕式でのお披露目を目指しており、社外活動にも関わらずトヨタグループが約4千万円を開発費として支援することが決定している。また、配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズは、「オスプレイ」を製造する米ベル・ヘリコプターやブラジルの航空機メーカー・エンブラエルらと提供し、「垂直離着陸機(VTOL)」が可能な空飛ぶ自動車の開発および、これを利用した都市部の短距離輸送ネットワークの導入を目指すプロジェクトを立ち上げた。

ちなみに、ドバイが進める次世代交通システムは「空飛ぶタクシー」だけにとどまらない。「ハイパーループ」という高速大量輸送プロジェクトにも着手しており、車で2時間かかるドバイ~アブダビ間を12分で結ぼうとしているのだ。ハイパーループとは、車両が鉄のレールのうえではなく、真空にした鉄管のなかを移動するもの。車両を磁気で浮上させるのはリニアモーターカーと変わらないが、空気抵抗のない状態で動かすため最高時速1,200km/h が出せるというのだ。これは、リニアモーターカーの2.4倍の速度である。さらに、驚くべきはその建設コストで、既存の高速鉄道の10分の1に抑えられるそうだ。そもそも「ハイパーループ」は、電気自動車(EV)メーカー・テスラモーターズの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏が13年に構想を打ち出して、注目された超高速輸送システム。ドバイでは、港湾運営会社DPワールドが米ハイパーループ・ワンと2016年8月に提携し、同年11月にはRTAとドバイ全土に高速旅客鉄道網を建設するため、共同研究を行うことで合意した。ハイパーループ・ワンは米ラスベガス郊外の砂漠に実証システムを建設しており、その動向にはインドやロシアも関心を示しているという。


イーロン・マスクが描く、地下トンネル構想

ハイパーループ構想を打ち出すマスク氏だが、彼は未来の都市交通を変えるであろう、もうひとつの構想を提示している。それが、地下トンネル構想だ。この地下トンネル構想は、渋滞が深刻化するロサンゼルスの交通問題を解決する策としてマスク氏が提案しているもので、実際スペースXの敷地には掘削実験を行ったと見られる穴があるという。マスク氏はトンネルを掘る「ボーリング・カンパニー」を設立し、巨大掘削機を購入した。これを使用して、約1.6kmキロ当たり10億ドルとされる掘削コストを10分の1以下に抑えることを目標としている。さらに、地下トンネルには人や車を運ぶ最高速度200km/hの電動車を走らせ、移動を圧倒的に短縮させるようと目論んでいるそうだ。広大な構想だが、彼が発言すると本当に実現しそうな気になってしまうから不思議である。

ここまで見てきたように、世界の都市交通は従来の都市交通の常識を超えたものを実現しようと動いている。日本はこの流れにどう対応するのか注目したい。


<参考・参照元>
大学キャンパスを走る無人電気バス。2018年からベルリンでテスト走行開始|世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン|IDEAS FOR GOOD
渋滞解消へ地下トンネル網=起業家が構想-28年五輪の米ロサンゼルス|時事ドットコム
中東ドバイ、「未来都市」に変貌中ー世界中のスタートアップの知恵を結集|企業家倶楽部
イーロン・マスク氏の思い描く未来の都市交通網、コンセプト動画とイメージ画像が明らかに|fabcross
「空飛ぶタクシー」ドバイで年内にサービス開始|BUSINESS INSIDER JAPAN
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