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スマホが紙の手帳にかなわない訳 [コラム]

いまだに、スケジュール管理ツールのトップは紙の手帳である。いまだにどころか、スマホによるスケジュール管理のシェアは減ってきてさえいるのだ。

もちろん、紙が便利なら紙を使えば良いのだが、問題はそこではない。もっと便利になれるはずのスケジュール管理アプリが、全く進歩しないのだ。アプリが紙を模倣しようとしている間に、紙はデジタルとの共存を考えて動いている。

Googleカレンダーの便利さだけに頼って、インターフェイスとレイアウトをおろそかにしたアプリに未来はない。

デジタルが得意そうなのに、いまだにアナログに勝てていないどころか、大きく水をあけられている分野に「手帳」がある。2017年の資料が見つからなかったが、2016年秋に株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM[ジェイマム])が発表した調査結果でも、スケジュール管理に使うツールのトップシェアは紙の手帳なのである。

そして非公開のデータを見せてもらったが、2017年も状況はあまり変わらない。これは何を示しているかというと、話は簡単で、スマホによる良いスケジュール管理アプリが、いまだに登場していないということだ。

そもそも、スケジュール管理はデジタルの得意分野のはずなのに、パソコンの時代も電子手帳の時代も、紙の手帳に取って代わる事は出来なかった。
パソコンが手帳にかなわないのは分かる。そもそも、スケジュールを確認するのにいちいちパソコンを立ち上げていられないからだ。それでも、本当に忙しい人は、Excelなどで作った一日のスケジュール表をプリントアウトして利用していたりするのだが、それはもうスケジュールというよりも行動予定表だし、A4何枚にも渡るスケジュールをこなさなければならない人は、最初から手帳では間に合わないのだ。
しかし、そういう人でも、プライベート用に紙の手帳を使っていたりする。

もちろん、Googleカレンダーと連携して、スマホでスケジュール管理という人は多い。
かく言う筆者も基本的なスケジュール管理とToDo管理はiPhoneのRefillsというアプリをGoogleカレンダーと同期させて利用している。しかし、一方で紙の手帳も手放せないのだ。また、スケジュール管理だけではなく、とっさのメモや、覚書、トークなどのための原稿といったものも、まだ紙の手帳で管理する方が楽なのだ。

そして、近年の紙の手帳は、スケジュールを管理するだけならスマホの方が便利だという事を意識した製品作りを行っているのだ。
例えば、スマホは画面が小さいため、一覧性に欠けるし、長期間の予定を俯瞰する事が苦手だ。そこで、見開き1ヶ月の月間予定表を用意する。コンパクトな文庫本サイズでも、見開きにすればタブレットの画面程度になるから、その見やすさはスマホの比ではない。

他にも、スマホは基本、一画面しか表示できないという点に目をつけて、月間スケジューラと週間スケジューラが一度に閲覧できるフォーマットを開発したり、ブロック型の月間スケジューラ(カレンダー的な表示になる)の横に、リスト型の月間スケジューラをレイアウトして、予定と進捗状況を同時に確認できるフォーマットにしたりといった具合だ。
2018年用の手帳には、ついに、1週間の時間管理とToDo管理を見開きで一覧できるレイアウトも登場した。

一方で、ビジネス用途ではない、どちらかというと、スケジュール管理という機能をライフログ的に使う手帳も多数登場して、大きな市場を作っている。
こちらは、絵を描いたり、自分なりの趣味のリストを作ったり、思い出の写真や紙片を貼り付けたりと、手帳を1年の記録のアーカイブとして使っているわけで、このような使い方は当然、スマホには向かない。
日記アプリもあるけれど、日記ではなく手帳で日記的な要素を扱う事がポイントなのだから、書式が決まった日記アプリでは物足りない。

このような紙の手帳の現状に対し、デジタルの手帳は、何故かデジタルならではの魅力を伸ばす方向には向かわず、紙の手帳をシミュレーションする方向のアプリばかりが登場するのだから、紙にかなうわけがないのだ。その意味では、スケジュール管理アプリは、まだ決定版が存在しない、大きなビジネスチャンスがある分野とも言えるだろう。
基本的なエンジンはGoogleカレンダーを使えば良いのだから、後はビューワーのアイディア次第で、いくらでもチャンスはある。

そもそも、現時点のスケジュール管理アプリは出来て当然の事が出来ない、というケースが多過ぎるのだ。
例えば、1日が必ず24時で終わって、24時を越えるスケジュールは翌日扱いや日をまたぐ予定になってしまう。これが使いにくい。紙の手帳なら少し線を伸ばして26時終了とか書いておけば、その日の予定として管理できるし、朝8時から、翌朝7時までを1日と設定する夜型向き24時間手帳だってある。しかし、これがデジタルでは出来ないのだ。1日の終わりを何時に設定するかなんて、デジタルなら簡単に出来そうなのに。

他にも、2日から6日まで、毎日10時から18時までイベントがある、といったスケジュールの入力も、1日ずつ入力しなければならないケースがほとんど。
そして予定はそれぞれが1日の予定として表示される。紙なら、ひゅーと線を引いて矢印を書いて、10時から18時まで、とか書いておけば、見やすいし分かりやすいのに。

場所欄は何故、きちんと住所を書かないと地図アプリと連携してくれないのか、とか、メモ欄の検索ができないものが多いとか、スケジュールとタスクの一覧表示が見やすいレイアウトになるアプリがないとか、ちょっと使えば、欠点はいくらでも見つかる。
このあたりが放置されている間は、まだまだスマホは紙の手帳に敵わないのだ。


<参考・参照元>
第9回「あなたの手帳の流儀」 調査 | 新着情報 | 新着情報 | JMAM 日本能率協会マネジメントセンター

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