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QRコード決済にアマゾン、LINEも参入!手数料0%のキャッシュレス決済戦争が勃発

8月29日にアマゾンが、実店舗でのQRコード決済サービス「Amazon Pay」を発表した。

QRコード決済は、楽天の「楽天ペイ」や、NTTドコモの「d払い」がすでに対応。7月末にはソフトバンクとヤフーが共同で、コード決済を手がける子会社「PayPay」を設立し、8月1日には、LINEが「LINE Pay」のQRコード決済で、店舗側にかかる2.45%の決済手数料を無料とするキャンペーンを開始した。
さらにメルカリなども参入に向けて準備をしている。

一方、政府はQRコード決済サービスを提供する事業者に補助金を出し、サービスを導入する中小の小売店には、時限で税制優遇を行うことを検討している。こうした動きは、キャッシュレス決済で世界に遅れをとる日本で、本格的なQRコード決済の普及に繋げることはできるのだろうか。


QRコード決済に税制優遇の後押しも

QRコードや、電子マネーによる決済は、日本でも徐々に広まりつつあるが、中国や韓国にはまだまだ及ばない。経産省によると、クレジットカードも含めたキャッシュレス決済の割合は、韓国が89%、中国が60%、インドが38%となっており、日本の18%を大きく上回っている(2015年時点)。

訪日客も大きな不満を持っているとされるが、キャッシュレス化が進むことで、消費者にとって利便性が高まるだけでなく、消費者の決済のハードルが下がる。それにより、消費が活発になり、店舗などの売り上げも伸びることが期待されている。また、店舗側も現金を扱わず、売上などをデータで管理できるため、経営効率を高めることが可能だ。

また、QRコードを用いるモバイル決済は、買い物客が自らのスマホにQRコードを示して店舗側が読み取る形式と、店側が端末に示して買い物客が読み取る形式の2つがあるが、クレジットカードのような手間が発生せず、決済が素早く完了できる。政府は、仕様を統一する方針で、これに沿った決済サービスを提供する事業者に補助金を支給する計画という。


アマゾン対LINE、モバイル決済は個人商店にも普及できるか

現状、日本では非接触型ICを利用した電子マネー(Suicaなど)は、交通系を中心に普及が進んでおり、2016年の決済金額はおよそ5兆円に達する。ただ、QRコードを利用したモバイル決済は、広く普及していない。

特に、中小企業や個人商店では、手数料の負担や専用端末の準備などがネックとなり、キャッシュレス決済の導入は進んでいない。政府はその対策として、キャッシュレス決済の端末を配布するなどの策を検討している。また、税制優遇は、QRコードの表示などキャッシュレス決済を新たに導入する企業を対象に、一定期間は減税する仕組みを検討。店舗の手数料負担を実質的に抑え、2020年の東京五輪までの普及に弾みをつけるとする。

アマゾンが発表した「Amazon Pay」は、こうした中小の店舗がターゲットだ。
ユーザーが「Amazonショッピングアプリ」の画面上に表示したQRコードを、店舗側が専用のタブレット端末で読み取ること仕組みで、ユーザーのAmazonアカウントに登録したクレジットカードで決済される。

今回、アマゾンは店舗向けに、タブレット端末のレンタルとAmazon Payの利用を同時に申し込むと、2020年末まで決済手数料(通常3.5%)を0%にするキャンペーンを実施すると発表した。モバイル決済サービス事業を展開するNIPPON PAYと協業し、NIPPON PAYが端末を無料で貸し出す。

「Amazon Pay」はまず、NIPPON PAYがこれまで実証実験を行っていた福岡市の店舗や、東京新宿の早稲田商店会の加盟店の一部などで、導入されるという。

決済手数料の無料化で先行したのが、LINEだ。
加盟店が無料の店舗用アプリを利用し、QRコード決済を選択した場合、通常は決済額の2.45%が店舗側にかかる「LINE Pay」の決済手数料を、2021年7月31日までの3年間、0%とするキャンペーンを開始した。

「LINE Pay」は、店舗にスマートフォンやタブレット端末が1台あれば導入できる。無料の店舗向け決済アプリをダウンロードし、アプリから加盟店申請を行い、審査に通ればQRコード決済を受け付けることができる。
また、すでにLINE Payの口座を持つ多数のユーザー(2018年4月時点でグローバルに約4,000万)がいることも魅力だ。
やはり中小の店舗をターゲットとし、加盟店を年内に100万店舗まで増やす計画だという。

iPadなどのスマートデバイスをPOSレジとして使えるようにする「Airレジ」のモバイル決済機能にも「LINE Pay」は対応している。

現在のユーザー数が33万件というAirレジは、導入費用が最小限で済み、個人経営の飲食店などでも利用されている。モバイル決済機能は、QRコードを読み込むことで簡単に決済でき、Alipay(アリペイ)、WeChat Pay(ウィーチャットペイ)に対応。さらに、国内向けにはLINEの「LINE Pay」とドコモの「d払い」にも対応している。

また、金融関連ベンチャーのメタップスは、決済手数料を0.95%にするとして、QRコード決済の普及を目指す。

QRコード決済の普及のカギは、中小の小売店、飲食店にあると各社が考え、導入のハードルを下げようと躍起になっているのは、モバイル決済がもっとも普及している中国の現状があるからだ。


中国で進むキャッシュレス化

中国は、キャッシュレス化が進んでいる国だ。特に、スマートフォンとQRコードを利用したモバイル決済の比率が高く、日本銀行の調査レポートによれば、過去3カ月間にモバイル決済を利用したと答えた人が98.3%に達したという。
ちなみに、日本は6%(2016年)というからその違いは歴然だ。

中国では、あらゆるサービスがモバイル決済に対応している。タクシー、コンビニ、鉄道の乗車、自転車などのシェアリングサービス、そして街中にある屋台や公共トイレのチップ、街頭の募金までもQRコードが置かれ、モバイル決済に対応している。決済もマイクロペイメントに対応しており、1元(約16.5円)単位で可能だ。

中国のモバイル決済サービスを牽引するのは、アリババの「Alipay(支付宝/アリペイ)」とテンセントの「WeChat Pay(微信支付/ウィーチャットペイメント)」の二強だ。どちらかのサービスが使えないところはないというくらい浸透している。

中国でモバイル決済の普及が進んでいるのは、スマートフォンの普及が大きい。中国では、スマートフォンがライフラインとなっており、身分証明書(日本でいうマイナンバー)もスマートフォンで管理されている。


キャッシュレス化は、小売業へどんなインパクトを与えるか?

日本の決済事情は、現金が約50%と高めである。
政府は、2020年までに電子決済の割合を引き上げる方針だが、日本人の現金主義を変えるのはなかなか難しいだろう。

キャッシュレス化は、決済が迅速に行えるだけでなく、セキュリティや不正の防止にも役立てることができる。
現金があることで、財布が盗まれたり、店舗に強盗が入ったりといったリスクが生まれる。こうしたリスクがなくなることで、現金を管理するコストも削減できる。

また、電子決済になれば、お金のやり取りが全て記録され、犯罪組織への資金供給などの形跡が残ることとなる。
これは小売業だけでなく、社会全体に対してメリットがあるといえるだろう。国がQRコード決済をはじめとする電子決済を進めたい背景には、このような事情がある。

小売業、特に東京で経営する店舗にとっては、2020年のオリンピックまでにキャッシュレス決済にスムーズな対応ができるようにしたいところだ。多くの外国人が来訪することが予想されるが、彼らはキャッシュレス決済が当たり前という可能性が高い。

キャッシュレス決済が導入されていないことで、機会損失が生まれることも予想される。これに対応するために、キャッシュレス化は着々と進むことだろう。

そして、QRコード決済のリーディングサービスになるには、中小店舗の導入数が決め手となる。決済サービスの覇権争いのこれからが注目される。


<参考・参照元>
中国EC向け決済 Alipay(アリペイ) | GMOペイメントゲートウェイ
ビットコイン決済が身近に、bitFlyerがビックカメラ2店、Coincheckが26万店展開のAirレジで | TechCrunch Japan
中国「超キャッシュレス社会」の衝撃、日本はもはや追う側だ | 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ | ダイヤモンド・オンライン
モバイル決済利用率は日本6%、米国5.3%、そして中国では98.3%――日銀レポート | TechCrunch Japan
2020年、日本の電子決済市場はどこまで広がるか? | リテールテックJAPAN
モバイル決済の現状と課題 - 日本銀行
丸井グループ ビットコイン決済を試験導入 :日本経済新聞
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