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OSのアップグレードは必要なのか?[コラム]

かつてパソコンは思ったように動かないのが当たり前だった。その中でユーザーは様々な工夫をし、どうにか仕事で使ってきた。
だから、新機種の発表や新しいOSへのアップグレードは、心躍るお祭りのようなものだったのだ。Windows95の発売日の深夜に秋葉原に行列が出来たのは、本当に皆が発売を待っていたからだ。

しかし、今や、そんな時代ではない。有り難いことに、PCはいつまでも安定して動く。OSを変える必要もあまり感じない。
そんな中でのOSのアップグレードに意味はあるのだろうか。

いよいよ、Windows7のサポート終了が迫っている。
まあ、しようがないというか、OSは最新のものを使うに越したことはなく、アップデートは早めにすれば良いとは思う。最近のOSは、かつての、「OSアップデートするならPCも買い替えなければ」というようなものではないし、それどころか、軽くなっていくイメージさえある。

これは、もうWindowsでもMacOSでもiOSでもAndroidでも同様で、アプリケーションの互換性もまずまずだ。OSをアップデートしないでいるメリットは少ない。

しかし、一方で、PCもOSも、道具としてようやく安定してきたこともあり、アップデートしないデメリットも、もはやあまりないのだ。
それこそ、サポートさえ続くのならば、現状の仕事道具として、特に問題がないどころか、環境を移行することで起こる、慣れないインターフェイスによるミスや、移行作業に取られる時間、安定して動作しているシステムを手放すことになる恐怖、など、できれば現状のまま使いたいと思ってしまう要素がとても多かったりするのだ。

OSのアップグレードのリスクが減ったのと同じく、それもまた、PCやソフトウェアが進歩発展して、ようやく道具として安定してきたからこその状況なのだ。
かつては、もう、OSのアップグレードを首を長くして待っていた。それは、つまり、それだけOSに対して不満があったということだ。
同じことはソフトウェア全般にも言えて、私たちは、便利だけれど、常に不便も抱えた道具を、どうにかだましだまし使ってきた。
それがPCを使う醍醐味だと、自分に言い聞かせて、トラブルを楽しみ、小さなトラブルを回避する技術を競い、小さな便利を求めてソフトウェアを探し回っていたのだ。頻繁にPCを買い替えていたのも、同じ理由だ。

マシンを替えて作業が楽になるなら、金に糸目は付けないと本気で思っていた。不便とは言っても、それがないと仕事にならないし、他の道具よりはそれでもとても便利だったから。

その意味では、現状の、その気になれば5年以上平気で使い続けられるPCというのは、夢のような話なのだ。
古いバージョンのソフトウェアが、十分現役で使い続けられるというのも、そこに大して不満がないというのも、ずっとPCで仕事してきた人間にとっては、輝ける未来でしかない。いつの間にか、PCは「当たり前のように便利なツール」になっていたことを、OSのアップデートがあると思い出す。

OSのアップグレードというのは、今や、その程度のものになっているのだ。そして、遂にスマホのOSも、そういう感じになってきている。
新機種が発売になって、数カ月すると、売り上げに翳りが!といったニュースが流れるが、そんなのは当たり前だ。もはや、最新OSさえ動けば、数年前の機種でも、普通に使えるし、最新OSでなければならないということもなくなってしまった。

ならば、ある一定の層が買い替えたら、あとは売れないのは当然ではないか。最近PCが売れないというのも同じことだ。古い機種が、普通に使えるのだ。そして、道具というのは手に馴染んでいくもので、手に馴染んだ道具は手放したくないのだ。
かつての(といっても、ほんの10年前くらいだが)、手に馴染む前に、機械として使えなくなっていた頃とは、性能が段違いなのだ。そして、求められるスペックも、もうそれほど上がらない。それこそ、AIを動かすとか、3Dアニメーションを作るといった作業でもなければ、7年前のPCでも問題ない。
そのくらい、PCもOSも優秀なのだ。

つまり、この状況を招いたのは、PCメーカーであり、OSメーカーの努力。

少し前に、AppleがiPhoneのバッテリーが劣化すると、動作速度も落ちるようにしていたというニュースがあったが、実際問題、そのくらいやらないと、いつまでも使えてしまうのである。そうなると、次は売れない。

だから、もう考え方を変える時期だ。
PCにしてもスマホにしても、もう、毎年、新機種を発表する必要はない。開発ペースを落とし、むしろ個性をいかに持たせるかに注力する方が良いのだ。
OSも、安定しているなら、それが長く続くアップデートの方が良いのかも知れない。もっとも、サポートにはお金がかかるし、いつまでも古いOSに構っていられないのはしようがない。

ユーザーとしても、サポートが切れたOSを使い続けるのは、本当に危険だから、メーカーには、そのあたりの周知は十分行って欲しいと思う。
その一方で、しかし、私たちはいつまで、このOSのアップグレードと機器の買い替えのループに付き合わなければならないのだろうとも思う。若い人たちのパソコン離れというのは、そういう面倒くささから起きているのだ。スマホのOSのアップグレードは、その面倒くささを極力減らしているからこそ、皆が付いてきている(まだ)。

この先、IT業界は、ユーザーの「面倒くさい」と戦うことになる。その時、OSのアップグレードというのは、かなり大きな障害となるだろう。
そして、それは、もう目の前だと思った方が良い。


<参考・参照元>
ご存じですか? OS にはサポート期限があります! - Microsoft atLife
iPhoneのバッテリーとパフォーマンスについて - Apple(日本)

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