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ブロックチェーンで社会に変革を!DMM・スマートコントラクト事業の野望に迫る【インタビュー】

仮想通貨のコア技術として利用が進んでいるブロックチェーン。しかし、ブロックチェーンはスマートコントラクトなど今後さらに利用が進むことが予想される。

そのブロックチェーンを利用して、社会に大きな変革を起こそうとしているのが株式会社DMM.com(以下、DMM)だ。今回はその取り組みについて、DMMのスマートコントラクト事業部 事業部長・川本 栄介氏、スマートコントラクト事業部テックリード・篠原 航氏、スマートコントラクト事業部エバンジェリスト・加嵜 長門氏にお話をうかがった。


決断までわずか2ヶ月弱!スマートコントラクト事業進出の経緯

そもそも、なぜDMMはマイニング事業、そしてスマートコントラクト事業へ参入したのか。まずはその経緯から川本氏に語っていただいた。
「世の中に、VALUやタイムバンクのような、ブロックチェーンと親和性の高いサービスが次々と出てきました。これを見て、これからはブロックチェーンが世の中で活用が進むのではないかと、社長の片桐(孝憲氏)と協議しました」
マイニング事業、スマートコントラクト事業へ進出した経緯を語る川本氏

当時、DMMではブロックチェーンについて「篠原さんと私の2人で、昼休みなどを利用して勉強会を開いていた」(加嵜氏)という。社内に全く知見がなかったわけではないが、あくまで小さな種の段階にすぎなかった。

しかし、ここからDMM流の経営で、怒涛の勢いで事業化へのステップを歩むことになる。川本氏が語るその経緯から、DMMの最大の特徴を垣間見ることができる。
「片桐と協議したのは2017年8月で、翌月末にはプレスリリースでマイニング事業へ参入すると表明しました。そして、この年の12月には創業の地・金沢にマインングファームをオープンできるよう、10月末から2週間ほどかけて北米やヨーロッパを視察に行ってきました。マイニングファームとして有名なカナダ、アイスランド、ノルウェー、ロシアなどを周り、設立のために必要な設備などを見て回りました」

圧倒的なスピード感を持って事業を進めるDMM。しかし、強烈なのはスピード感だけではない。

積極的な投資で迅速に事業を展開

DMMは、マイニング用のマシンへの投資も多額の投資を一気に行う。「投資も中途半端な形ではなく、一気に行って、スピード感を持って進めます」と川本氏は語る。
マイニングファーム内にあるマシン。DMMはマシンへの投資も一気に行う

従来の日本企業では考えられないスピード感と事業への投資感覚。そこまでして、マイニング事業へ投資を行う背景には、ブロックチェーンのエコシステムを支える役割を担うという使命があるからだと川本氏は語る。
「ブロックチェーンは、マイニングするプレイヤー・マイナーが存在しないと成立しません。これから訪れるであろうブロックチェーンの時代において、マイナーの存在はますます価値を持つことでしょう。そういった形で社会に貢献しつつ、多くの人たちにそのことを理解していただきたいと願っています」

この思いは、2018年3月にオープンした金沢のマイニングファームにも込められている。「マイニングファームは、ただのショールームにするのではなく、マイニングやスマートコントラクト、トークンなどブロックチェーンに関する理解を深めてもらう場所にしたいです。また、ITとは全然関係ないものの、スマートコントラクトに興味を持っているという企業の方とも、このマイニングファームを活用して交流できればとも考えています。そのための準備も着々と進めているところです」(川本氏)
2018年3月にオープンした金沢にあるマイニングファーム

ブロックチェーンからどんなプロダクトを創造するか

そして、マイニング事業の次に展開すると発表したのがスマートコントラクト事業だ。これは、現時点でどのような構想があるのだろうか。
「スマートコントラクトは、どのようなアプリケーションがあれば世の中に広まっていくか、構想を練っている段階です。先日は、秋葉原にあるIoT部隊と勉強会を行なって、ハッカソンのようなことをやってアイデアを出し合いました。また、事業部のメンバー同士でも、テーマを決めて毎日ディスカッションをしています。2018年度のスマートコントラクト事業は投資フェーズにあります。2019年度以降に勝負できるよう着実に準備を進めているところです」(川本氏)

仮想通貨が話題になっているとはいえ、ブロックチェーンの活用はまだまだ始まったばかりだ。そのためにも、DMMとして積極的に情報を発信しつつ、どのようなプロダクトを生み出せばいいか、構想を練っていく必要があると川本氏は語る。

「少なくとも、2018年はやることを全て公開して、外部の企業ともノウハウを共有していく段階かと思います。まだまだ競合などを意識してビジネスを行う段階ではありません。ブロックチェーンを使ったプロダクトのあり方を、ビジネス分野でどんどんアウトプットしていきたいですね。プロダクトを作る際にこういう要素が必要だとか、有益な情報を発信していきたいです」

DMMが推進する「ブロックチェーンコミュニティ」形成に向けた動きとは

スマートコントラクトの事業化に向けて準備を進める一方で、DMMではブロックチェーンの活用が社会で進むようなエコシステムの構築にも着手している。この点について、篠原氏が言及する。
「ブロックチェーンは、技術の体系化や規格も含めて、まだまだ整備が必要です。これらを整備するためにも、世の中でブロックチェーンの理解が進むような啓蒙活動を行ったり、コミュニティを作ったりしようと進めています」

その一つが、2018年に出版したブロックチェーンの書籍だ。篠原氏と加嵜氏が執筆した『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』(マイナビ出版)は、大手書店で平積みにされるなど、大きな反響を呼んでいる。さらに、加嵜氏によると書籍への反響は思わぬ形でも表れているという。

「先日、当社で出版記念のイベントを開催したのですが、そこには定員の180名を大きく上回る約360名の方にご応募いただきました。社内からも参加したいという声が上がっていたのですが、会場にスペースがないため、オンライン中継で別室で見ていただきました」
エンジニアとして活躍する篠原氏(右)と加嵜氏。書籍の出版記念イベントは大きな反響を呼んだ

書籍の内容は、ブロックチェーンの基本的な内容からスマートコントラクトを実現するための技術的な仕組み、そしてブロックチェーンがもたらすであろう社会へのインパクトについて丁寧に書かれている。この書籍に込めた思いを、篠原氏はこのように語る。

「これまでITの世界では、英語がメインであり、最新の情報を得るには英語という壁が存在していました。そのため、日本人には優秀なエンジニアがたくさんいますが、英語ができないがゆえに、ハンデを持っている実情もあります。しかし、ブロックチェーンについては、今後どこがリードしていくかわかりません。日本がブロックチェーンの分野で世界のトップに立ってもおかしくないかと思います。そうなると、海外の人が日本語の資料を読みにくるようになるでしょう。このような未来もイメージしながら、書籍を執筆しました」

さらに、DMMはブロックチェーンのコミュニティづくりにも積極的だ。「ブロックチェーンをもっと有効に使いたいという人が集まれる場を作りたいですね。例えば、ブロックチェーンの勉強会をやりたいけど、オフィスを貸してくれないかというような形でもDMMを使ってもらってもいいのではないかと考えています」(加嵜氏)

超ミクロなエコノミーが次々と誕生する!? DMMが考えるブロックチェーン社会とは

今後より社会により大きなインパクトを与えるであろうブロックチェーン。それが普及した先にある未来について、最後に川本氏に語っていただいた。

「ブロックチェーンによって誕生するトークンが循環して機能する仕組みなどをもっと考えていきたいです。法定通貨をベースにした経済圏は、もう出来上がってしまって、しかも規模が大きすぎて非効率な部分が出てきます。これが解消されるインパクトは非常に大きいのではないでしょうか」

「トークンを利用すれば、たった5人の超ミクロなエコノミーが誕生してもおかしくありません。ミクロな経済圏であれば、トークンを移動させるコストが非常に少なく済みます。そうなると、1円の報酬を積み上げて、それを収入にできるようになるかもしれません。例えば、歩いたり、呼吸をするだけでミクロな収入が発生する、そんなエコノミーが誕生してもおかしくないでしょう。そうなると、これまでの考え方がガラッと変わります。このように、これまでの常識に捉われない発想が求められているのではないでしょうか」

川本氏が語る構想は、まるで別世界のように聞こえるかもしれない。しかし、DMMからは、今までにない社会を作り、これまでの常識をひっくり返すくらいの意気込みで事業に取り組んでいる様子がうかがえる。ここで述べられた社会は、案外遠くない未来に実現しているかもしれない。


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『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書」マイナビ出版
加嵜 長門、 篠原 航 著/書籍・電子版ともに3,553円/発売中
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取材・文:山田 雄一朗

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