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トラックの無人隊列走行が実用化へ!世界初の自動運転技術による隊列走行実験に迫る

物流業界は今、深刻な運転手不足に悩まされている。政府が主体となり人材の確保を目指すものの長時間労働・低い賃金水準などのイメージが先行し人材の確保ができないのが現状だ。

そうしたなか、複数のメーカーが共同開発したCACC技術によるトラックの隊列走行実証実験が行われた。
未来投資戦略2017の一環であり、2022年の商業化を目指して動き出したトラック隊列走行後続無人システムに迫る。


深刻な運転手不足による強いニーズ

2017年の経済成長率は1.5%、比例して物流量も増加している。なかでも、国内貨物輸送の90%を占めるトラック産業はインターネット通販が急成長を遂げているなか需要も急加速している。
しかし、需要の増加に反して人材が追いつかず、運転手不足の懸念が現実味を帯びてきた。

トラックドライバーは2006年に92万人に達して以来、減少を続けている。また、若年者層の割合は極めて低くドライバーの15%が60歳以上の高齢者だ。
加えて、ほかの産業に比較すると女性就業者数の割合もかなり低い。若年層の人材不足、女性の就業者数の低さ、こうした年齢や性別にかかる構成の歪みが業界の先行きに影を落としている。
経済成長を維持するためにも、今、新たな輸送手段が求められる。


トラックメーカー4社と豊田通商による世界初の隊列走行実験

2018年1月23日、日野自動車などトラックメーカー4社と豊田通商は後続車有人によるトラック隊列走行の実証実験を行った。

新東名高速道路・浜松SAから遠州森町PA間において、トラック3台が隊列走行するCACC技術を活用した実験である。先行車の制御情報を通信技術により後続車に伝達、車間距離を一定に保って走行する。
今回の実験は単一メーカーではなく複数のトラックメーカーにより共同開発されたCACC技術を利用し、トラック自体も異なるメーカーの隊列走行であり、世界初の実験となった。

25トン級の大型トラック3台が隊列をなし時速75キロで走行、先行車の操作にあわせて加速・減速が行われ、車間距離は35メートルに保たれる。トラックの隊列が周辺を走行する車両からどのように認識されるか、周辺走行車に及ぼす影響にはどのようなものがあるかが調査された。

無人化実現に向けた課題は以下のようなものだった。

“様々な悪天候等でも安全が確保できるように通信を維持する技術の確立
通信速度を確保することにより、車両の挙動を安全に保つ技術の確立
故障等の際に安全に停止する等の措置を講じる技術の確立 など
引用元:http://www.mlit.go.jp/common/001178890.pdf”

上記の課題を念頭に、周囲に及ぼす影響を調査するために行われた今回の実験。実用化の実現に向けて、その取り組みは続く。


車の未来を変えるCACC技術

CACCとはCooperative Adaptive Cruise Control(協調型車間距離維持支援システム)の略語であり、ACCを高度化したものである。

無線により先行車の減速や加速など制御情報を受信し、それに伴い、後方車も自動で加減速する。まだ、開発途上ではあるものの実用化にむけた研究が進められている。

昨今テレビのCMでもよく見かけるACCは電波により前方車両の距離を測定し車間距離と速度を維持する。
前方車が速度を落とせば、ACCが働いている後方車も速度を落とす。ACCの機能中は後方車のアクセル・ブレーキ操作は不要となる。このACC機能は自動追従走行機能であり、前方車両との追突を回避するといった意味合いが強い。

CACCの場合は同一車線上を走る前方車・後方車と無線により連携を図り、一定の車間距離を保ちながら隊列走行するシステムである。
例えば、先行車両がブレーキを踏み減速したとする。この情報が無線により隊列をなして走っているすべての車に伝わり、すべての車が乗り心地を損なわない程度の程よいタイミングで減速する。

逆に先行車両が加速した際も同様の仕組みで隊列すべてが加速する。先行車両にはドライバーが乗車。2台目以降のトラックは電子的連携システムにより隊列を形成し自動的に運転する。

CACとCACCの大きな違いは無線を介して連携をなしているか否かという点である。


2022年の実用化を目指すCACC技術によるトラック隊列走行

2020年、東京オリンピックが開催に向けて、新たなインフラ整備が加速している。こうした建築関連の需要に関してもトラックドライバーが果たす役目は大きい。

CACC技術によるトラック隊列走行実験は、こうした時代の要望にマッチしたシステム開発の一環だ。
今回、実証実験に参加した4社はいすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス。そして、豊田通商が事業を受託し行われた。人材確保が日に日に難しくなるなか、長距離走行するドライバーの疲労軽減・人材不足解消、そして、隊列走行による空気抵抗削減による燃費の改善など多くの効果が期待される。

第5回未来投資会議によれば、2018年10月までに隊列走行技術の確立、2020年までに後続無人隊列システムの実証を目標としている。さらに、2022年に向け高速道路の走行距離、 走行可能範囲の拡大を視野に入れ事業化の確立を目指す。

工場などはオートメーション化が進み人手を介さないシステムが多くみられる昨今だが物流はどうだろうか。実に国内の物流の90%を担うというトラック輸送、その運転手は人なのである。
国土交通省指揮のもと実用化を目指して行われた今回の隊列走行実験。政府が本腰を入れ始めた流通革命の実現が待たれる。


<参考・参照元>
世界初、トラック隊列走行の実証実験…通信で制御情報をやり取り | レスポンス(Response.jp)
トラックの自動隊列走行を実証実験 高速道路で4社合同 :日本経済新聞
世界初※1、高速道路におけるCACC※2を用いたトラックの後続有人隊列走行実験を開始します~移動革命の実現に向けた後続車有人によるトラック隊列走行実証実験~(METI/経済産業省)
トラックの隊列走行の研究開発
ドライバー不足等トラック業界の現状と課題について - 国土交通省
17年度の実質成長率は1.5%、18年度は1.1%成長 NEEDS予測 :日本経済新聞
トラックドライバーの「2020年問題」不足する物流の担い手、どう補う?
トラックの隊列走行について - 国土交通省
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高速道路での後続有人隊列走行実証実験に参加

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