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「誰もがメディアを持てる時代」がようやく迎えた成熟期[コラム]

インターネットが現れる前、NIFTY-ServeやPC-VANなどのパソコン通信時代に、共通のテーマを掲げた「掲示板」で知識の共有(あるいは披露)価値を見出したユーザーは、インターネット時代を迎えると、こぞって自分のサイトを構築した。

そこから四半世紀が経ち、インターネット上ではさまざまなスタイルの「メディア」が生まれては、その役割を終えてきた。インターネットを使えば、「誰もがメディアを持つ」ことができるのだろうか。


1990年代初頭にインターネットが日本に上陸して、およそ四半世紀が経過した。

インターネットが現れる前、NIFTY-ServeやPC-VANなどのパソコン通信時代に、共通のテーマを掲げた「掲示板」で知識の共有(あるいは披露)価値を見出したユーザーは、インターネット時代を迎えると、こぞって自分のサイトを構築し、知識の披露のいち手法として、自分が見つけてきたサイトへのリンクを貼り、そのサイトからもリンクを貼ってもらう、という“相互リンク”が流行した。

このインターネット黎明期にしきりと使われていたのが「誰もがメディアを持てる時代」というキーワードだ。

当時の個人ウェブサイトも、確かに本来の意味の、情報を提供する媒体としての「メディア」ではあった。
しかし、この文脈で言わんとされていた「メディア」=「マスメディア」には到底及ばず、むしろ最初にマスメディアに近づいたのは『Yahoo!』のような検索・ポータルサイトだった。

1996年にサービスを開始したソフトバンク『Yahoo! JAPAN』は、数多のウェブサイトをカテゴリ別に整理したディレクトリ型検索サービスを提供し、トップ画面から辿っていく形で新着情報やニュースなどのピックアップ記事を掲載。Webブラウザと開くと最初に表示するトップページをこうした検索サイトに設定していた方も多いだろう。

その後、Microsoft『MSN Japan』、NTT『goo』、ライブドア『Livedoor』など多数の検索・ポータルサイトが立ち上がる。
同時期に産経新聞社『産経WEB』やインプレス『PC Watch』などの出版社によるWEB版ニュースページがどんどん作られるようになっても、まずそれらへのアクセスの窓口となる検索サイトの役割はたいへん大きかったのだ。

2000年代前半は、この流れを受けてポータルサイトが全盛期となる。
ユーザーがインターネットに接続する入り口となるインターネットプロバイダ大手は、各社オリジナルの情報ポータルサイトを作るようになり、『2ちゃんねる』のようなパソコン通信時代の掲示板での情報交換から、はてなの『はてなダイアリー』やマイスペースの『マイスペース』など、ブログやSNS型が登場した。

皮肉なことに、こうした情報発信のフォーマットが細分化し、整っていくに従って、インターネットにおける情報の「メディアとしての確実性」は、かえってどんどん薄まっていくことになった。

いかにも怪しげな初期型の個人制作サイトとは違い、きれいに整ったフォーマットのもとに記される「情報」は信憑性があるように見えたし、当初のWebサイトのような野暮ったいクリック式のバナー広告から、閲覧者の数に応じて報酬が支払われるPPV方式の広告へと推移し、個人ブログにも大手スポンサーの広告が表示されるようになると、あたかもいっぱしのマスメディアのように見えるようになった。

ヒトはどうしたって「それっぽいもの」に弱い。子どもの頃、ワープロで打って紙に縦書きプリントされた自分の書いた文章を見て「うわあ、本みたい!」と高揚したのも、単なるそぼろご飯が、しゃれたランチョンマットの上のプレートに色とりどりの野菜と一緒に盛り付けられたただけで「カフェめし」としてやけにおいしそうに見えるのも同じことだ。

広告があって、著者(たとえそれが匿名であっても)がいて、「何人の人が購読している人気記事です!」と記載されていたら、それはメディアとして認識される。
インターネット初心者の爆発的増加と、従来の紙やTVのメディアに対する不信感が相まって、その実、ほとんどが情報としては不安定なものが大多数であったとしても、インターネットに雲のようにぼんやりと浮かんでいた「メディア」への期待は否応なく高まっていったのだ。

さらに2000年代後半、iPhoneを皮切りに、インターネットの利用者は大きくスマートフォン利用者へと傾き、SNSの時代がやってくるとまもなく2011年に東日本大震災が勃発。通信インフラや交通インフラの切断で混乱する大手報道を尻目に、『Twitter』などのSNSでの情報交換がもはや情報の発信源をメディアに求めない、という気分がますます高まっていく。

有名ブロガーは「メディア」として認識され、企業もまた広報のターゲットをブロガーやSNS上で多くのフォロワーを持つインフルエンサー、Youtuberを重要なファクターとみなし始めた。この時期に現れたまとめサイトやキュレーションサイトがそうした「マスメディア化した発信者」をピックアップすることで、その存在はますます拡散されるようになり、インターネット上のメディアの方向性が見えたようにも思えた。

しかし、そうした発信者はあくまでも第一次発信者としての個人に過ぎず、多くの人が関わり、監視と検証とそれなりの予算をかけた既存メディアとは違う、という事実を叩きつけたのもまたキュレーションサイトだった。出典に確認せず、個人の書いた情報を都合よく引っ張ってきてまとめ、PVを稼ぐための扇情的なタイトルをつけた記事をつける悪質なサイトが大量に現れるようになったからだ。

そうしたサイトの多くが、マスメディアの体裁で、ありえないほど安い賃金で素人に雑で低レベルな“記事”を量産させ、せっかく形になりかけていたインターネットのメディア全体の価値を地に落とすことになった。

2016年には大手DeNAの『WELQ』が健康関連のデマ記事を大量掲載していることが大きな問題になり、記事公開を停止。さらにその対処としてGoogleが怪しい医療情報を検索結果に表示しないという措置を取った。

ところが、そのWELQショックの揺り戻しで、混沌としていたインターネットメディアが一気に整理されることになったのだからおもしろい。

低レベルの記事を量産するサイトは失速し、BUFFALO『BoT』などPV収入に頼らない、良質な記事を掲載する企業経営のオウンドメディアの人気が高まり、個人ブログも扇情的なPV稼ぎではない、きちんと内容のあるものが評価されるようになった。これまではスタッフが日々のつぶやきをアップしていた小売店のブログでさえも、アイフォン修理ジャパン渋谷店『スタッフブログ』のように、きっちりと読める記事を作り込むようになってきた。

検索・ポータルサイトの先駆けとなった『Yahoo! JAPAN』が2018年3月末に、ついにディレクトリ型サービスを廃止したことも、時代の区切りとして象徴的だ。

テキストのニュースだけでなく、映像系のニュースも、ほとんどがネット上で即時に確認できるようになった。ようやくインターネットは『マスメディア』を配信する場として成熟期を迎えたのだ。お楽しみは、これからだ。


<参考・参照元>
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