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個人に向けたAIによるサービスが急増、その市場規模は数兆円規模に?

スマートフォンに搭載されたバーチャルアシスタント機能や、スマートスピーカーなど、AIはすでに身近なものとなってきている。

さらに各分野の企業では個人向け商品にAIを活用し、より利便性が高く効率的なサービスの提供を開始している。暮らしはAIによってどのような変化を遂げていくのか。個人向けAIの現状について解説していく。


個人向けAIの種類にはどんなものがあるのか

未来社会を描くSFの中の存在と思われていたAIは、今や生活のいたるところで活用されている。

最も早い段階で我々の前に現れたのは、バーチャルアシスタントのSiriで、その後続々とマシンたちが語りかけてくるようになった。Amazon EchoやGoogle Home、LINE Clova WAVEなどのスマートスピーカーはIoT家電と連携し、セキュリティを含めた家中の管理を実現してくれる。

お掃除ロボットや運転サポートシステムなど、すでに身近なところでも、気づかないうちにAIに支えられて生活を送っている。
個人向けのAIとしては、スマートスピーカーや家電に組み込まれてモノとして提供されているほかにも、コールセンターやチャットボットなど、各業界が個人向けサービスで利用しているケースもある。
最近ではTensorFlowのような、個人がプログラム開発に気軽に利用できる人工知能技術サービスも登場している。

人々の生活が、AI抜きにしては成り立たなくなる日はそう遠くはないだろう。


個人融資・不動産・投資関連サービスもAIが変える

AIが急激に利活用されるようになった背景には、ビッグデータの存在がある。
あらゆるものがインターネットにつながり、想像もつかないほど膨大なデータを入手できる時代が来ている。これまであった統計データとはまったく異なる精度で、個人に適合する情報が導き出されるようになった。

融資や投資関連、不動産サービスなどの分野では今、AIを使った個人向けサービスが広がりを見せている。
「AIスコア・レンディング」は、個人の信用力がスコアによって提示されるサービスだ。顧客が自分で入力した情報について、AIがビッグデータに照らし合わせ、信用度を算出する。
入力する情報が多いほど、スコアは高まる。
例えば同じ年収であっても、さまざまな情報を入力することで、有利な融資を受けられる可能性が高くなるのだ。

個人向けAI投資にも高い関心が寄せられている。ヘッジファンドなどプロレベルでのAI活用は以前から知られているが、初心者向けの投資にもAIが活用されるようになってきた。

例えば金融系ベンチャーが提供するサービスでは、年齢や年収を入力すると最適なバランスのポートフォリオが自動的に作成される。SMBC日興証券のように、AIを使った投資に関連する予測情報を個別に提供している企業もある。

不動産業界では、推定成約価格を算出するAIサービスの提供を開始した。
知りたい物件の参考価格を即時に調べたり、住所や占有面積といった情報から売却予想価格を自動算出したりできる。


AIビジネスに関する市場予測

2016年に行われた調査によると、AI関連産業は2015年の3.7兆円から2030年には約87兆円に成長すると予測されている。
AIビジネスに関する国内市場規模については2015年度の1,500億円から2030年には14.1倍の2兆1,200億円に達すると見ている。

AIを搭載した業務用コミュニケーションロボットの市場は、2017年の8億円から2025年には270億円に拡大するとされており、各業種の受付や案内対応に活用が広がる。
現在試験的にロボットの導入をしている店舗も見られるが、AIの精度が上がり、反応速度が高まれば活用は一般的となり、小規模店舗や中小企業の省人化に貢献する。

物流や飲食チェーン店などに対する業務・産業向け省エネサービスでも、AI活用の動きが加速している。
2017年の1億円から2025年予測は81億円と急激な変化が予測される。AIによるオペレーションが人員とエネルギーの大幅な軽減を実現し、効率的な事業運営が期待できる。

一方、総務省が行った調査によると、現時点では実社会における職場へのAI導入はあまり進んでいない。
就労者に対するAIの職場への導入を日本と米国を比較した結果、「既に導入されており、活用(利用)したことがある」「既に導入されているが、これまでに一度も活用(利用)したことはない」の合計が日本では5.0%、米国では13.7%の回答となっている。
また、「現在は導入されていないが、今後、導入される計画がある(計画中・検討中)」については日本が5.6%、米国は16.5%との回答が見られた。

多くの企業はAIの活用が事業に対して有効性を持つと感じながらも、導入に対して積極的な方向性を示せていない。
今後、事業内容に合わせたAI関連のコンサルティング需要が高まっていくことが期待できる。


生活のあらゆるシーンに進出する個人向けAI

急激な進化を遂げるAIだが、ここ数年のうちはまだ「特化型」といわれる一定のタスクを処理するタイプの製品が主流であることが考えられる。
自動調理ができる電子レンジや温度・湿度管理を完璧に行う冷蔵庫といったAI家電、自動運転機能の向上、自立型ドローンなど、これまであった製品に対してAIをどう活かしていくのか、各分野での研究開発が進むだろう。

個人向けAIの市場拡大が期待されているのが、スマートスピーカー分野だ。
先行のAmazon、Googleに追従して国内ではLINEが参入しているが、2017年中の発売を予定する複数の企業がある。2018年度中の市場規模は20万台、約18億円が見込まれている。

市場の拡大に従い、従来のオーディオ機器、家電製品との連携も強化されていくだろう。各社がスマートスピーカーと音楽配信サービス提供を融合させることで、スマートフォン+スピーカーの流れが変わる可能性もある。

他のデバイスでは、富士通が個人向けPC全機種に対し、AIを搭載すると発表し、注目されている。
関連が予測されるものとしては、「Amy」などの仮想アシスタントだ。ユーザーのスケジュール管理にとどまらず、仕事やミーティングのマネジメントから、作業にかかる時間の管理まで行う。
個人的な志向や条件を学習し、電子メールのやりとりや、会合の時間・場所のセッティングといった人間の秘書顔負けの働きも実現している。

医療分野でもAIの活用が浸透し始めているが、個人向けヘルスケア関連商品の低価格化により、市場はさらに広がるだろう。
持病を持つ人の健康状態の観察や、健康への意識が高い人がコンディションを維持するために、AI搭載のウェラブル端末を身に着けるようになる。
蓄積された情報に従い、運動や睡眠、食事についての指示が表示され、個人の生活管理のベースをAIが提供するようになっていくだろう。


<参考・参照元>
AIを活用した「信用力審査」脅威の精度 | プレジデントオンライン
SMBC日興証券、AIで個人向け投資情報サービス :日本経済新聞
AIビジネス市場は2030年度に2兆円規模に、2015年度の14倍 | 日経 xTECH(クロステック)
AI関連産業は2030年に86兆円に 数字で見るAI市場 | 月刊「事業構想」2017年4月号
総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)の職場への導入状況
富士経済、AI搭載機器・AI活用サービスの国内市場調査結果を発表 :日本経済新聞

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