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AIでチームの情報力を向上!帝人 デジタルヘルス事業推進班が考える「Anews」の実力とは?


近年、著しく進化するテキストマイニング(自然言語処理技術)やディープラーニング(深層学習)。AIが言葉を理解できるようになりつつあるのは、まさにこの技術の進化なくして実現できなかったと言って良いだろう。
このテキストマイニングとディープラーニングの研究をベースに事業展開しているのが、ストックマーク株式会社だ。同社がリリースしているAI型WEBニュースクリッピングサービス「Anews」は大企業をはじめ多くの企業で利用されており、高い評価を受けている。

果たして、ストックマークは顧客にどのような価値を提供し、何を見据えているのか。今回は、ストックマークの代表取締役CEO 林 達氏と Anews の第1号ユーザーである帝人株式会社デジタルヘルス事業推進班 プロジェクト・リーダー 濱崎洋一郎氏、出井丈也氏にお話を伺い、その姿に迫った。


ストックマークの得意領域と事業内容

テキストマイニング、ディープラーニングを得意領域としているストックマーク。「人工知能テクノロジーで人×情報の関係を効率化。今、目の前の未来をもっと便利に」を理念に掲げる同社の詳細について紹介しよう。

ストックマークは、CEO林氏とCTO有馬氏が創業した東京大学発のAIベンチャーだ。強みは、テキストマイニングの他、ウェブ上の情報を効率的に収集するクローリング、ユーザーの行動履歴などを分析して、各人の好みなどを抽出する機械学習、そして大量のデータから特徴的な傾向を見出すビッグデータ解析がある。

これらの技術をフルに活かして展開しているのが、企業向けのニュースのクリッピングを行う「Anews」だ。Anews は、2017年にみずほ銀行が優秀なベンチャー企業を表彰する「Mizuho Innovation Award」、そして日本の人事部が主催する「HRアワード2017」で賞を受賞するなど、リリースわずか1年で大きな注目を集めるようになった。

導入企業も着実に増えているという。林氏によると、「現在ご利用中のユーザーは700社となっています。導入している企業様も帝人、博報堂、WOWOW、セブン銀行、三菱商事などの民間企業から経済産業省のような省庁まで広がっています」と説明する。

Anewsは、設定したキーワードに関連する記事を国内外の3万以上のメディアから記事を収集し一覧で表示するサービスだ。Anewsにログインすると、AIがユーザーの興味を自動的に学習し、ユーザー読みたいであろう順に記事が並ぶ。Anewsに実装しているアルゴリズムは単にキーワード検索をしているのではなく、記事自体にキーワードが含まれなくても関連度の高い記事を選ぶことができ、ユーザーが普段の行動では触れることができなかった記事と出会うことができると林氏は説明する。これにより、社内やチームでの情報収集を確実に、効率的に行うことができる。

Anews の現状について説明するストックマーク・林氏

さらに、ストックマークのテキストマイニングの技術はこんなところにも活かされている。林氏はこんな事例を紹介してくれた。「最近はアドテクの分野で活用が進んでいます。たとえば、自動車メーカー様の広告を、交通事故を報じているニュースサイトに出稿すると大きな問題になります。このような事態を防ぐために、事前に当社のサービスでサイトの内容を把握して、出稿しても問題ないかチェックしたりしています」

また、ストックマークは音声解析にも力を入れている。「入力した音声をそのまま文字起こしできるようなサービスも提供しています。もちろん、その内容は意味が通るように補正するようにします」と林氏は語る。実際に、このサービスの利用シーンも想定されている。「たとえば、採用面接における面接官の対応などを評価することができます。面接で求職者の評価を行うことはありますが、面接官についてはほとんど評価されることがありません。面接官が適切な質問をするなど、きちんと対応しているかどうかも、音声認識の技術を用いることでクリアすることができます」


Anews のファーストユーザー・帝人との出会い

その Anews をファーストユーザーとして利用しているのが、帝人株式会社デジタルヘルス事業推進部だ。その班長を務める濱崎氏に、部門のミッションをうかがった。「デジタルヘルス事業推進部は、帝人グループにおける新規事業開発の役割を担っています。このプロジェクトに関わって4年になりますが、現在はフミナーズという睡眠をテーマにしたWebメディアを立ち上げるなど徐々に成果も出ております」

帝人グループで新規事業立ち上げのミッションを担う濱崎氏

新規事業を立ち上げるのに欠かせないのが、世の中の最先端の動きをキャッチする情報収集だ。「海外の論文を探したり、サイトを検索して調べたりしていましたが、これを効率的に行う必要がありました。そこで、出会ったのがストックマークでした」と濱崎氏は Anews を導入するに至った背景について説明する。

林氏によれば、両社が出会ったのは大手企業とベンチャー企業をマッチングするイベントだったという。そこから、濱崎氏は即導入を決め、帝人がファーストユーザーとして Anews を利用することになった。


ユーザーが実感する Anews を活用するメリットとは

実際に Anews を活用して、どのようなメリットを実感しているのだろうか。デジタルヘルス事業推進部の出井氏は、このように説明してくれた。「これまで、重要と思われる海外論文などは紙で回覧などを行なっていました。しかし、紙だと途中で止まってしまうなど、うまく共有が進みませんでした。しかし、Anews を活用することで、チームで論文や記事の共有が容易にできるようになりました」

さらに、出井氏は Anews のメリットについて「Anews を活用することで、ヘルスケアや医療のキーパーソンが発信する情報を追い続けることができるようになり、さまざまなメディアから情報をフラットに取ることが可能になりました。海外の論文なども追うことができ、情報の取りこぼしも減っています」と言及している。

また、Anews の要約機能も情報を効率的に収集する上で役立っているという。「Anews はWeb版を主に使っていますが、メールでも情報が配信されるようになっています。要約機能があるので、情報の概要が掴みやすく、必要な情報か判断しやすくなっているのも助かります」(出井氏)と語り、Anews が業務に浸透している様子がうかがえる。

Anews のメリットについて語る帝人・出井氏

帝人では、今後オープンイノベーションを起こすために、さまざまな取り組みを推進するという。
濱崎氏は「今後、デジタルをバックグランドに持ちつつ、ヘルスケア領域で、さらに新規事業を立ち上げたいと考えています。帝人グループは2018年で100周年を迎えました。もともと、帝人はIT活用について先進的な取り組みを進めており、先日も『攻めのIT経営銘柄2018』に選定して頂いています。ただ、ヘルスケアの領域でも、AI、IoTの活用等、事業環境、技術環境は変わってきており、おちおちしていられないと感じています。100周年という節目の年に、改めて新しいことにチャレンジする必要があるのではないかと思っています」と語る。


ユーザーからの期待はますます大きくなる ストックマークの今後

そんな時期だからこそ、帝人がストックマークにかける期待は大きい。その一つが、AIによる音声の分析だ。濱崎氏によれば「例えば、コールセンターにかかってくるお客様の声には、潜在的なニーズがたくさん詰まっていると思います。だからこそ、これを有効に活用していく必要があります。この分析精度を上げていくのは今後の大きなテーマの一つです」と述べる。これに対して、「AIを活用した音声の解析は当社の専門分野の一つです。この面からもしっかりお手伝いしたい」と林氏は答える。


さらに、濱崎氏はストックマークにより大きな期待をかける。「これからの時代、ビジネスにおいてAIの活用は必要不可欠になります。だからこそ、ストックマークにはAIに関するパートナーとして関わっていただきたい」。

ストックマークのビジネスはこれからさらに拡大するところだ。林氏も「これから Anews 以外に、AIをお客様の現場でさらに活用していただけるよう取り組みを進めていきたいと考えています。その一つとして、AIアルケミスト というコンサルティングサービスの提供を進めています。そして、今後はAIのコミュニティを作ることを目指しています。先日のMeet Upでは大企業の新規事業担当者や経営企画部署等から200名以上が参加してくださいました。さらに、来月には自社のオウンドメディアをオープンさせ、大企業におけるAI活用の情報発信も積極的に行っていきます」と展望を語った。

AI の商用利用はこれからさらに加速するだろう。そして、それに伴って AI ベンチャーが活躍できるフィールドも広がる一方だ。ストックマークがこの新たな市場で存在感を示すことができるのか、今後の動向を引き続き注目したい。


取材・文:山田雄一朗

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