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eラーニングの進化形?EdTechは教育市場をどう変化させるのか

Education教育)とTechnology(テクノロジー)の組み合わせから生まれたEdTechが、今、注目されている。
テクノロジーを活用し、教育現場に革新をもたらすという広い意味で使われているが、これまであったeラーニングとはどのような違いがあるのか。また、EdTechを取り入れることで教育現場はどう変わるのか。

EdTechに分類されるサービスの現状と教育市場の展望について解説する。


EdTechとは

EdTechは教育(Education)とテクノロジー(Technology)の掛け合わせによって生まれた造語だ。
すでにFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせたフィンテックという言葉は新聞やニュースでも使われて広く知られるようになってきているが、EdTechもまた教育分野にイノベーションを起こすものとして注目されている。

EdTecが出現した背景には、生活のインフラとなりつつあるインターネットの浸透と、情報の入手や活用の手段であるスマートフォン、タブレットなどの普及、さらにデバイス上で動作するアプリの進化があげられる。
ネットワークスピードが向上し大容量の情報が行き交うことにより、動画だけではなく双方向でのアクションが可能となった。
さらに、教育を受ける子供の親世代のITとの親和性により、EdTechの活用が理解されやすくなったというのも大きなポイントとして挙げられるだろう。


EdTech とeラーニングの違いは?

インターネットでデバイスを利用した教育といえば、eラーニングが一般的だが、EdTech とeラーニングにはどのような違いがあるのか。
結論からいえばEdtechもeラーニングも、教育×ITという意味では同じであり、明確な定義の棲み分けはされていない。技術面からも、活用目的からも、共通点は多い。EdTech とeラーニングが、ほぼ同じ意味で使われる場面は少なくないようだ。

eラーニングから始まった教育とテクノロジーの出会いが、EdTechという進化を遂げていると考えて良いだろう。
EdTechには子供向けの知育アプリ、受験生や小中高生の学習をサポートするスタディアプリのほか、教育用SNS、アダプティヴラーニングなどあらゆるテクノロジーが含まれる。人間の講師が説明をするeラーニングだけではなく、AIを利用して回答やヒントが得られるサービスなど、社会人向けの高度な学習まで幅広い分野に及ぶ。

2016年度に実施された調査によると、国内eラーニング市場規模は前年度比106.7%の1,767億円で増大傾向が続いている。世界規模では27兆円を超える巨大市場である。

従来のeラーニングでは初期費用の負担が大きく、情報の更新を継続するためには予算への負担がネックとなっていた。
現在ではYouTubeなど動画配信サービスの利用により、手軽で安価な導入が可能となった。
日本政府が2020年までに学習用のタブレット端末を1人1台配布する方針を発表したことでも、EdTech活用のプラットフォームが整いつつあるといえるだろう。


EdTechの現状

EdTechの教育現場への浸透については、まだ発展途上にある。動画を学習に取り入れているといっても、かつての教育テレビ番組が置き換えられた程度の効果しか得られていない。

EdTechが真に活用されるためには、インフラ環境の整備、教師のITリテラシー向上に加え、提供されるサービスの充実が必要だ。EdTechの強みは従来の教材では成し得なかった、現場のニーズへの柔軟性のある対応力であるはずだ。

2020年度からの小学校でのプログラミング授業の必修化が決定されたことで、EdTechの果たす役割はますます大きくなっていく。
しかし現在提供されているEdTechサービスが、現場の声に十分に応えられているとはいえない。
日々積み重なる教員の負担を軽減し、きめ細やかな学習を実現するためにどのようなEdTechサービスが必要とされているのか、現場に即した回答を見出さなければならないだろう。

一方ですでに高い評価を受けているEdTechサービスも数多く見られる。米国内で幼稚園から高校まで広く普及している教育用SNSサービス「Edmodo」は、連絡用としてだけではなく、質問やディスカッションの場を提供している。

課題の提出機能も備えており、教師、生徒、保護者の強力な情報プラットフォームとなっている。
個人に最適化された学習を実現するアダプティヴラーニングを提供する「Knewton」は、生徒一人ひとりに最適化された学習プログラムを作成する。
紙のテキストを授業のような対話コースに変換してくれるBenchPrepという、ユニークなアプリもある。スマートフォンやタブレットから受講可能で、独学では難しいという人もスクールに通うより安価に学習できる。

日本国内では受験対策向けのサービスが充実している。センター試験受験者の3人に1人が使っているという「受験サプリ」は、一流講師陣の講義が動画で視聴できる。

経済的、地理的に不利な受験生でも、質の高い授業を受けられる。5分程度の短いコンテンツがドリル形式で提供されている「Quipper」は、日本発ながらタイやベトナム、インドネシアといったアジア6カ国でも中高生向けに提供されており、現在1万人の利用者がいる。
すき間の時間を使い、飽きずに学習できるのがポイントだ。


EdTech市場の展望

現在はAIといったテクノロジーの進化によりもたらされる、第4次産業革命の始まりといわれている。
世界規模でEdTechの注目が集まる中、EdTech関連市場は2015年から2020年の5年で、平均成長率16.7%の成長が予測されており、市場規模は約10兆円に及ぶと見られている。

教育ICT環境の整備促進を唱える日本政府は、EdTech実装にあたって現状23.5%にとどまっているWi-Fi整備率100%を目指している。
また、中国のEdTechスタートアップ投資額が2015年にアメリカを抜いたことに注目しており、国、ベンチャー企業、育成組織からなる中国のEdTechスタートアップエコシステムを評価している。

その一方で、国内においては教育分野の素人企業が、EdTech市場に一気に参入することについて警戒感を表す。
EdTechについては学校業務の効率化、学習効果向上、生徒の健康管理と家庭との情報共有からいじめの管理など、教育現場全般にわたる大きな期待を寄せており、“過渡期ではあるが、⼤きなイノベーションの可能性を秘めている”という見解を示している。
企業に対して求められるのは、技術に走らずに今の教育現場に潜在する課題を洗い出し、具体的な解決策となるEdTechサービスだろう。

EdTechで成長するこれからの子供たちは、プログラミングのスキルだけではなく、何を作るかという発想力をも養っていく必要があるだろう。
EdTechで学びながらも、向かうところはコンピュータやAIに代替されない創造性というスキルだ。

教育系ベンチャーの公開コンテストが行われるなど、日本発のEdTechが海外へ輸出される機会創出の動きも見えてきた。
教育現場を置き去りにしない、真の人間性を養うEdTechサービスが国内で実施されれば、日本型EdTechが国際市場に打って出る可能性が大きく広がる。


<参考・参照元>
eラーニング市場に関する調査を実施(2017年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
「エドテック」を基礎から解説、市場規模から国内外の4分野別事例まで フロスト&サリバン連載 ~ICTとの融合で特定の産業がどう変化するか~|ビジネス+IT
eラーニングの国内市場規模は1,767億円、矢野経済研究所が2016年度の調査結果を公表 |EdTech Media
Edtech(エドテック)とは | 教育業界でeラーニングが再注目される理由 - eラーニング(システム) | ボクシルマガジン
「eラーニング」から「EdTech」へと変化するデジタル教育市場 - CNET Japan
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