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トヨタが自動運転のテストを本格開始へ 自動運転時代の覇者になるための条件とは

2018年3月期、およそ2.5兆円という過去最高益をあげたトヨタ
しかし、その業績とは裏腹に、豊田社長の株主へのメッセージは危機感に満ちたものだった。それは、トヨタが「脱・自動車メーカー」を掲げ、大きく事業転換しようとしているからだ。

2018年10月にアメリカで開設される自動運転のテストコースも、トヨタが考える新たなビジョンの文脈から考えると、さまざまなものが見えてくる。


トヨタが自動運転技術の展開へ本腰

2017年度過去最高益を叩き出したトヨタ。しかし、その投資姿勢に慢心は一切ない。
年間1兆円とも言われている研究開発費も、Amazonやアルファベット(Google)などのITガリバーに及ばないといい、さらに増額される可能性もあるだろう。そして、その増額分の一部は自動車メーカー各社で進められている自動運転の研究開発に向けられるだろう。

その自動運転の舞台として今後注目を集めているのが、 2018年10月にミシガン州に開設される予定の自動運転用のテスト施設だ。
建設を行うのは、トヨタ自動車の子会社で、アメリカでAIなどの研究開発を行うToyota Research Institute, Inc.(以下、TRI)。TRIは、ミシガン州・オタワレイク市にあるミシガン・テクニカル・リソース・パーク内の60エーカー(約24万平方メートル)の土地を使用し、テスト施設をつくるための建設許可を提出している。

このテスト施設では、公道上では実施が難しい危険を伴うケースの運転シナリオを、安全な環境で再現し、テストを行う予定である。
具体的には、混雑した都会の交通事情を反映したコースや雨などで滑りやすくなっている路面、出入り口がある片側4車線の高速道路などを模擬するという。


テストコースを開設する背景

世界でもほとんど例を見ない自動運転用のテストコース。建設には多額の費用を要するだろう。
ここまでの投資を、なぜトヨタは進めるのか。大きく分けて2つ理由があると考えられる。
一つは、世界の自動車メーカーで進む自動運転車の開発に遅れを取らないようにするためだ。自動運転は完全自動運転を実現する「レベル5」を最高基準としている。

ドイツのアウディはレベル4の自動運転車を2019年にヨーロッパで投入することを目指し、現在開発が進められている。
日本では、自動運転車に関する法整備などが議論されている。自動運転で起こりうる危険について、自動車メーカーは日々対策を考え続けなければならない。
トヨタも当然のことながらそのことは認識済みで、テストコースを開設してTRIを中心により積極的に研究開発を進めようとしているのだろう。

そして、個人的にはもう一つの理由が自動運転化を実現しようという大きなモチベーションになっているのではないかと考えている。
それは、トヨタが考えている自社の将来像だ。


投資動向から見えるトヨタの自動運転戦略

自動車を作る製造業から、モビリティをプラットフォームにしたサービス業への転換。トヨタは生き残りをかけて社運を賭けた挑戦を行っている。
例えば、2018年1月に発表された「e-Palette Concept」は、トヨタが考える MaaS (Mobility as a Serevice)の構想が表れている。

トヨタがグーグル、ウーバーと組み次世代モビリティ開発を進める理由とは?

自動車などのモビリティありきではなく、そこで展開するサービスを前提に考えられている。
そして、そのサービスをより展開しやすくするために、自動運転技術を活用するというスタンスを取っている。大前提は、あくまでサービスであり、そこに必要なモビリティ技術として自動運転などが挙げられているのだ。

また、トヨタは社会づくりも実現しようと、日本の第4次産業革命にかかわる取り組みである「Society5.0」にも参画している。トヨタのビジョンは従来の自動車メーカーの戦略と一線を画しているのだ。

トヨタの純利益は過去最高も強い危機感。超スマート社会への取り組みなど、トヨタは向かう未来とは?


自動運転は「脱・自動車」の第一歩

トヨタのモビリティに関する取り組みは、あくまで戦略の一部に過ぎない。
もちろんモビリティの開発についても妥協なく、これまで以上に高品質な商品を提供できるようカイゼンが続けられるだろう。

しかし、モビリティを前提とした革新的なサービスを生み出すべく、他社との連携も積極的に進めている。
自前主義と言われていた以前のスタンスはそこにはなく、先ほど紹介したe-Palette Conceptはグーグルやウーバー、AIの研究開発でもPreferred Networksなどのベンチャー企業と資本提携など積極的に協業を進めている。

トヨタのAI投資は、スマートシティと次世代モビリティに何をもたらすのか

過去最高益という絶頂にあるトヨタ。しかし、トヨタが見据える未来は、はるか先にある。
そこへ向かう動向は、これから日本社会にも大きな影響を与えるのではないだろうか。


<参考・参照元>
米Toyota Research Institute, Inc.、自動運転開発用のテスト施設を今年10月にミシガン州に開設 | CORPORATE | トヨタグローバルニュースルーム
米Toyota Research Institute, Inc.(TRI)、次世代の自動運転実験車をCESで公開 | CORPORATE | トヨタグローバルニュースルーム
取り巻く環境変化とモビリティ価値の広がり
【東京モーターショー2017】自動運転レベル4のデザインとは…アウディ エレーヌ[デザイナーインタビュー] | レスポンス(Response.jp)
2018年3月期の純利益2.5兆円(前年比36%増)のトヨタ自動車。今期は一転、15%の利益減に? | clicccar.com(クリッカー)

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