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外国人が驚くニッポンの自動販売機、日本の独自の文化に

アメリカの経済誌ビジネス・インサイダーの記者が「自動販売機が語る日本文化」という記事を投稿しネットコミュニティの話題になっている。
日本を代表する文化的アイコンとなった自動販売機を外国人はどのように見ているのか。自動販売機が象徴する日本文化とは何か。
自動販売機を巡る最新のテクノロジーと併せて紹介する。


全国に500万台、年間600億ドルを売り上げる日本の自動販売機

アメリカの経済誌「ビジネス・インサイダー」が、「自動販売機が語る日本文化」というタイトルの記事で、日本の自動販売機事情について報じている。
二週間の東京滞在で無数の自動販売機に圧倒されたという記者の目には、日本の自動販売機はどう映ったのだろうか。

記者はまず、日本の自動販売機の設置台数に驚きの声をあげている。日本には500万台以上の自動販売機が設置され、人口23人あたり一台の計算になる。
人口一人当たりの設置台数はダントツの世界一で、自動販売機の年間総売上額も600億ドル(2018年7月26日現在日本円にして6兆6,420万円)に達するという。

また、自動販売機で売られているアイテムのバラエティの豊富さも驚きだ。
一般的なソフトドリンクに加え、コーヒー、お茶、たばこ、キャンディーなどの菓子、スープ、温かい食べ物、酒やビールまでも売っている。Googleの検索でも、「日本の自動販売機で売られている12の不思議なものとは」などといった検索ワードが人気になっているほどだ。
それにしても、なぜ日本にはこれほど多くの自動販売機が存在するのか。記者は文化的側面から読み解こうとしている。


人件費の高騰と高い人口密度

記者はまず、日本の少子高齢化と労働力の減少による人件費の高騰を理由に挙げる。
コネチカット大学のウィリアム・マクイーチャーン教授の説を挙げ、小売業の販売員を自動販売機でリプレースし、高騰する人件費に対応していると説く。

また、日本の高い人口密度も自動販売機の多さに関係しているとも指摘している。
日本の人口の93%は都市部に住み、日本は世界でも有数の人口密度が高い国の一つとなっている。高い人口密度は地価の高騰を招き、小売業の開店コストも高騰させる。
小売業の高い開店コストを嫌って事業者は自動販売機を代わりに設置する。「1平方メートル当たりの収益は、小売業よりも自動販売機の方が高い」と、教授の説を引用しつつ記者は主張する。

人件費と地価が高騰すると自動販売機の設置台数が増えるというロジックが正しければ、香港やサンフランシスコなどにも大量の自動販売機が設置されそうなものだと、筆者は突っ込みを入れたくなってしまった。


低い犯罪率と現金社会

記者はさらに、日本の低い犯罪率も自動販売機の多さに関係していると説く。
国連の統計などでも日本は犯罪率が低い国であることが示されているが、実際に日本で自動販売機が盗まれたり破壊されたりといった事件はほとんど起こらない。
売上が多い自動販売機などには多額の現金が入っているが、そもそも盗まれる恐れがないため、自動販売機のオーナーは安心して設置できるというわけだ。

確かに、アメリカなどでは自動販売機は学校、スーパーマーケット、空港といった、特定の安全な場所にしか設置されていない。
日本のように、交通量や人の行き来が少ない田舎に設置されることはほとんどありえない。仮に設置された場合、まず間違いなく自動販売機ごと盗まれてしまうだろう。

また、記者は日本の現金社会も自動販売機の多さに関係しているとしている。キャッシュレス化が進んでいない日本では、人は常に現金を持ち歩く必要がある。
そして、自動販売機は現金との相性が良く、自動販売機は現金消費の受け皿になっているとしている。


AIで自動販売機の在庫を最適化

他にも、日本人のロボット好き文化などを挙げ、日本に自動販売機が多い理由を挙げている。
日本人にとっては当たり前の風景が、外国人には違って見えているのがある意味興味深い。

ところで、筆者は最近、自動販売機に関する、ある面白いプロジェクトを拝見する機会を得た。
某大手飲料メーカーが行ったプロジェクトで、自社の製品を販売している自動販売機の棚割と在庫を、AIを使って最適化するというものである。オーストラリアの研究機関が開発したアルゴリズムを使い、購買パターンなどを学習して自動販売機の棚割(品揃え)と在庫を最適化するのだが、人間がマニュアルで行うよりもはるかに高いパフォーマンスを得たという。

現時点では試験的に一部の自動販売機で行われているプロジェクトだが、今後は適用範囲を順次広げてゆくという。
日本の自動販売機に、AIが実際にコミットし始めている事を示す象徴的なケースだろう。


固有の文化となった日本の自動販売機

もはや日本固有の文化となった日本の自動販売機だが、今後もAIやIoTなどの技術を取り込み、更なる進化を続けて行くだろう。
日本の自動販売機は、海外のインバウンド旅行客を呼び込む、ひとつの観光資源になったと言っても過言ではないだろう。

ところで、筆者はアメリカ人の友人が語った、日本の自動販売機についてのコメントを覚えている。
彼によると、日本の自動販売機は、特に夜において、日本という国を表現する風景なのだという。静寂な深夜の道筋に何台もの自動販売機が連なり、和やかに周りを照らしている。その風景がなんとも日本らしいのだそうだ。
「まるでブレードランナーの世界のようだ」という発言が、実に印象的だった。


<参考・参照元>
Japan's vending machines tell you a lot about the country's culture - Business Insider

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