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ビジネス特化型SNSリンクトインは日本でも有効活用できる?活用事例を紹介

総務省の平成29年度版情報通信白書によると、日本人の実に70%がSNSを利用しているという。
利用上位に挙がっているLINEやFacebook、Twitterといったすでにおなじみのサービスと比較すると、2011年に登場したリンクトインの浸透率は良好とはいえない。

果たしてリンクトインは日本のビジネス社会に貢献できるのか。活用事例を交え、特徴を解説する。


リンクトインは他のSNSとどう違う?

すでに広く知られているが、リンクトインのもっとも大きな特徴はビジネス上の人間関係を結ぶためのSNSであるというところにある。
従ってリンクトインのユーザー同士は、上司・部下であったり取引相手であったり、最も近しい関係でも会社の同僚といったところだ。利用目的としてはビジネス交流と“公的な”自己紹介であり、同じく趣味嗜好を記載していても他のSNSのように深入りはしない。

一般的なSNSでも出身校や勤務先がプロフィール欄にはあるが、リンクトインでは業種やスキル、ポジション、資格、キャリアバッググラウンドなど、より履歴書的な要素が強くなる。
日本でも人材採用でのSNS活用は広がっているが、年単位で雇用契約を結ぶ海外では、求職する側のツールとしても役割が大きい。リンクトインはさらに、新規顧客やビジネスパートナーといった、ビジネスに直結する人脈を得られる可能性を広げてくれる。

他のSNSがごくプライベートなつながりを求めて利用されるのに対して、リンクトインは個人的なスキルをあらわすポートフォリオの一端として、重要な位置を占めるといえるだろう。


リンクトインと日本社会の相性

ビジネス特化型SNSとして世界のユーザーが5億人を超えるリンクトインだが、国内の利用は200万人にとどまる。
2018年1月時点の主要なSNSの登録者数は、LINE7,000万人、Twitter4,500万人、Facebook2,800万人だ。この数値から見ても、リンクトインの浸透不足がよくわかる。

リンクトインが他のSNSのように日本に根づかないのには、いくつかの表面的な理由がある。
例えば画面回りの使いづらさは、本家の米国でも顧客満足度で最下位という評価を受けているし、Facebookよりも長い歴史がありながら日本語対応が3年以上遅れるなど、戦略的なまずさも目に付く。

しかし、最大の理由は、日本社会との親和性の低さといえるだろう。日本国内で先行したFacebookでは、話題の拡散やホームページ代わりになる仕様など、親しみやすくわかりやすいコンセプトにより浸透が早まった。
初期段階では米国的な考え方で構築されている設定方法などに戸惑いも見られたが、「面白そう」と思われれば多少のことは障壁にはならない。後に続く人気SNSのいずれもが、日本人にとって魅力的な要素を見出されたからこそ、膨大な登録者数という結果になって現れている。

一方「ビジネス用SNS」をどう使うのか、今ひとつ理解できていないという声はかなり多い。
リンクトインのイメージが、転職用の自己アピールで固まってしまい、自分にはあまり関係ないと思われてしまった節がある。最近では転職も盛んだが、それでも日本社会全体では終身雇用への考えが根強い。
キャリアアップが社会基盤となっている米国とは違って、リンクトインのメリットがうまく伝わってこない。

日本では欧米より、ビジネスと個人的な生活との距離が近いということも関係している。特に使い分けしなくても、「普通の」SNSでつながれば十分、と考える人は多いようだ。

いずれにしても、リンクトインが日本のビジネス社会で有効利用されるためには、強力なビジネスツールとなる、多彩な機能が搭載されていることへの認知が必要だ。


海外ビジネスにリンクトインは必須?

世界のユーザー登録数の激増ぶりを見れば、海外ビジネスを展開する上でリンクトインが欠かせないものとなっていることがわかる。
中国では2014年に中国語がリリースされて以来、登録者数が急激な伸びを見せ、現在は世界第3位の約3,300万人に達する。中国の経済成長を引っ張る国際派のビジネスマンたちがこぞって利用しているという。

来日した外国人ビジネスマンは名刺交換後、すぐにリンクトインで該当する人物を検索する。
欧米では過去にさまざまなキャリアをもっていることが当たり前なため、現在の地位だけではなく過去に在籍した企業やポストをチェックするのが普通だ。

ところが日本人の場合、リンクトインにはその人物らしき登録が見当たらず、やがてFacebookの友だち申請が送られてくる。Facebookはプライベート用SNSと見ている海外の認識と、かなりのズレが生じる。SNSの公私混同が外国人ビジネスマンを苛立たせていることに気づいていない。


日本企業のリンクトインのビジネス活用事例

  • ・ピンポイントの企業情報発信・広告
富士通株式会社ではリンクトインを、自社認知のための強力なツールとして活用している。
ターゲットとしているのはIT企業の決裁者という、非常にニッチな人物像だ。特に市場として狙う英国とフィンランドに向けて、LinkedIn上のキャンペーンを有効活用しIT企業決裁者の興味を喚起した。
この結果、両国における大幅なクリック数、インプレッション数の獲得という成功につながった。これを可能としたのが、リンクトインのもつ精緻なユーザー属性情報だ。

  • ・スピード重視のキャリア採用
パナソニック株式会社では、海外での採用活動にリンクトインを活用している。
国際的な規模で優秀な人材を他社に先駆けて獲得するためには、スピード感のあるアプローチがカギとなる。リンクトインの導入により、人材の発掘、発見、転職潜在層へのアプローチ、採用のためのグローバルなプラットフォームの構築、採用に向けたブランディング戦略といった統括的な施策が一挙に具体化された。

国外での採用活動の実績を受け、今後は国内での採用競争への対策として、リンクトインの活用を検討しているという。
国際社会と比較し、日本国内では個人能力の活用が十分とはいえない。同社では日本の採用市場活性化に関し、リンクトイン導入に大きな期待を寄せている。

  • ・既存の採用媒体との決別
“「会ってみたい」人材に出会える場所が、リンクトイン”とするのが、株式会社メルカリ。
同社ではすでに既存の採用媒体の利用を取りやめ、ダイレクトリクルーティングへと完全に切り替えている。国内での知名度に欠け、登録数の少なさが指摘される中で、同社の求める人材にマッチしたユーザーが多いという。
逆に現時点でリンクトインに登録しているユーザーには英語圏での勤務経験があり、柔軟な思考の持ち主であるケースが期待できる。

リンクトインをスカウトツールではなく、ビジネス特化型SNSと位置付けるメルカリでは、ファンづくりの一環としても活用している。
面接やスカウト的な要素にこだわらず、同社のノウハウ共有の場としてミートアップを開催する。さらにリンクトインの機能を駆使し、プロジェクトや記事ごとに検索可能な人材データベースとしても活用する。
国内では急成長を遂げてきたメルカリだが、さらなるグローバル企業への成長を目指す上で、リンクトインのポテンシャルが大きな武器となっているようだ。


<参考・参照元>
総務省|平成29年版 情報通信白書|SNSがスマホ利用の中心に
世界4億人が使う「LinkedIn」とは?使い方と企業の活用事例を日本語で解説【第1回】 | SELECK [セレック]
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