TECHNOLOGY

テクノロジー

VRコンテンツを次々と生み出すコロプラ、そのこだわりの「開発の流儀」とは?


最新テクノロジーの一つとして注目を集めるVR(バーチャル・リアリティ)。ゲーム業界でも、コンテンツの開発が激しく繰り広げられている。
その中でも、特に力を入れているのが株式会社コロプラ(以下、コロプラ)だ。リリースしているコンテンツ数は業界で屈指の本数を誇り、VR関連の特許取得は他社を圧倒している。

なぜ、コロプラはVRで他社をリードすることができるのか。その秘密を探るべく、今回はコロプラのVRコンテンツの開発を取りまとめるクリエイティブ本部 第2エンジニアリング部マネージャー・柏原崇生氏(以下、柏原氏)にインタビューを行った。


VRのポテンシャルに早くから着目 コロプラのVRへの取り組み

次々とVRコンテンツを発表するコロプラ。その歴史は、2014年8月から始まっている。

「当時、Oculus DK2 というヘッドマウントディスプレイで『the 射的! VR』をリリースして、主要なVRデバイスに対してコンテンツの提供を開始しました。その後、2016年には Oculus Rift 向けにパズルゲーム『Fly to KUMA』、スポーツアクションゲーム『VR Tennis Online』をリリースしております。ちなみに、当時、ローンチタイトルとして2本配信したのは、当社だけです」。
柏原氏の話からコロプラがいち早くVRに着目していたことが、この実績からうかがえる。

コロプラのVR開発を取りまとめる柏原氏

さらに、柏原氏によると、コロプラが提供するVRゲームにはいくつか特徴があるという。
「まず、グローバルに展開することを念頭に置いています。日本だけでなく、アメリカや中国などで顧客を獲得しているのが特徴の一つです。そして、マルチ対戦で他のユーザーさまと競うタイプのコンテンツが比較的多いですね」

これらの特徴を踏まえたコンテンツとして、主に中国でヒットしたのが『Dig 4 Destruction』だ。
「このゲームは穴を掘って、武器を発見して、他のプレイヤーを攻撃して倒すというオンライン対戦デスマッチゲームです。デスマッチというゲーム性と戦略性が、中国人の国民性にマッチしたのかなと考えています。VRゲームも、国ごとで評価されやすいものが異なるようで、アメリカだと比較的リアルなテイストのものが好まれる傾向にあります」

中国でヒットした『Dig 4 Destruction』

また、この『Dig 4 Destruction』では今後の開発に向けて、新たな知見を得られたという。
「対戦するプレイヤーが見つかるまで待機できるロビーのような場所を作って、そこでチェスなどちょっとしたゲームなどできるようにしたのですが、それが意外と好評でした。このことから、VRゲームにおいてはユーザーさまとのソーシャル性が重要ではないかと考え、この部分だけ抜き出したコンテンツ『COLOPL VR GARAGE』をリリースしました。また、TBSや日本テレビが行っている夏のイベントにブースを出展して、多くの方々にプレイしていただく機会を設けて、これも好評を得ることができました。コロプラの VR が広く認知されるきっかけになったかなと考えています」

その後、コロプラは次々とVRコンテンツをリリースし続ける。『Fly to KUMA』をパワーアップさせ、自分だけのオリジナルステージを作って他のプレイヤーと共有する『Fly to KUMA MAKER』は、今までコントローラー操作だったものをHTC ViveとOculus Touchに対応。実際に手でコントロールして、よりリアリティを持ったプレイを実現している。


まずは作ってみる!コロプラの文化が数々のVRコンテンツを生んだ

VRの新たな可能性を探り続けるコロプラだが、企画から開発を行う上でも、大事にしている流儀がある。それが、「コアアクション」という概念だ。

「コンテンツを開発する前に、まずはユーザーさまがどのような体験をしたら楽しいかというコアアクションを考えます。コアアクションを考えるときは、開発者だけでなく、職種の垣根を超えて、会社全体で取り組むこともあります。また、コアアクションが決まったら、コードを書いて、形にして共有するようにしています。先ほど紹介した『Dig 4 Destruction』も、穴を掘るアクションができたら楽しいのでは、というアイデアが出て、プロトタイプを実装するところからスタートしています。VRではやってみないと分からない事が多いため、企画を深掘りしていくより、まずコードを書いて形にする。それがVRコンテンツを開発する際のポイントです」

また、VRならではの「体験」を重視することもある。
「巨人と戦う『TITAN SLAYER』というゲームがありますが、これも元々の出発点は、巨人に襲われる体験ができたら面白いのでは、というものでした。体験を楽しんでいただくことを優先に考えていたところ、結果としてゲームとしても面白いという評価をいただくことができました。VRコンテンツにおいて、ユーザーの方にVRの中でどういう存在か認識させる。これがいかに重要であるか気づくとても良いきっかけになりました」

コロプラのVRに対する取り組みは、近年さらに積極的になっている。
2018年1月にリリースした『Nyoro The Snake & Seven Islands』は、GoogleのVRプラットフォーム「Daydream」向けに配信している。
「Daydream も今後主要なVRのプラットフォームになる可能性があります。当社では、Oculus製品や HTC VIVE 向けにコンテンツを提供してきましたが、あらゆるプラットフォームの可能性を探りながら開発を進めていきます」


このような取り組みの成果は、優秀な人材の獲得にもつながっている。
「現在、エンジニアの新卒採用にも携わっていますが、説明会や面接で、VRにかかわりたい、と志望してくれる参加者が非常に増えてきています。新しいテクノロジーと認知されているだけに、若い人に刺さるようですね。」
優秀な人材の確保は日本企業の喫緊の課題だ。しかし、それをクリアするだけのパワーがVRに秘められているようだ。


新たな技術を生むために、全社で取り組む知的財産に対する取り組み

コロプラのVR開発で特筆すべき点として、特許の取得件数の多さがある。特許取得件数は、すでに110件を超えており、他社を圧倒的に凌駕している状況だ。
なぜ、ここまで特許の取得が進むのか。柏原氏は、コロプラのVRに対する開発スタンスが大きく寄与していると言及する。

「新しいことをやろうとすると必ず課題が出てきて、コンテンツとして世に出すにはそれを解決しなければいけません。当社の場合、このサイクルを数多く回しておりますので、それだけ新しい解決策を生み出すことになります。それが結果として、特許取得につながっているのではないでしょうか」

また、柏原氏はコロプラ・知的財産グループのスタンスも一因にあると言う。
「知的財産グループは、待ちの姿勢ではなく、開発現場と積極的にコミュニケーションを取っています。毎週のように発生する新しい技術にも積極的にかかわって、具体的にどのように特許にまで落とし込むか議論します。この関係が特許取得件数の多さにつながっているのではないでしょうか」


バーチャルだけでは終わらない VR事業の今後の展望

日本でも有数のVRコンテンツクリエイターの地位にあるコロプラ。しかし、VRが本格化するのはまだまだこれから。今後到来するであろうVRブームに向けて、着実に仕込みを進めている。
「今年(2018年)に Oculus Go が発売されました。軽くて解像度も高く、しかも低価格ということもあり、VRの普及に弾みをつける可能性を秘めています。これまでの実績を見ると、VRコンテンツはまだまだコアゲーマー向けのものが売れ筋です。ただ、こうした傾向も、デバイスの進化により今後変化してくることも十分考えられます。あらゆる可能性を探って、今後はコアゲーマー向けのハイエンドゲームだけでなく、よりライトに楽しめるゲームも展開できればと考えています。デバイスの進化は、この2、3年で大きく進むでしょう。当社もキャッチアップしていきます」

そして、VRを活用した協業なども積極的に押し進める方針だ。
「『TITAN SLAYER』をプレイしてもらえるように、タイトー様のゲームセンターや、ランシステム様のインターネットカフェ・漫画喫茶 自遊空間でコンテンツを導入いただくなど、VRを楽しめる土壌を徐々に整えています。しかし、当社としては、VRを楽しめる場をもっと創出したいと考えています。コロプラのVRをもっと認知していただいて、協業の機会を探っていきたいと思います」

ゲーム業界で、いち早く携帯電話の位置情報を用いてその名を上げたコロプラ。今度はVRでその座を虎視眈々と狙っている。

取材・文:山田 雄一朗

あわせて読みたい記事!