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食品から医療まで!3Dプリンターの驚くべき活用事例

3Dプリンターが樹脂で描き出す中空のパフォーマンスに見とれる人は多いだろう。
1987年に基本特許が取得されてから30年余りの間に、3Dプリンターの低価格化と機能向上は急激に進んだ。現在、3Dプリンターは私たちが考える以上に製造の現場に浸透している。3Dプリンターの活用事例とその可能性について解説していく。


生活にあふれる3Dプリンターの「作品」

3Dプリンターといえばプラスチック成型のイメージが強いが、実は日常の中にはすでに3Dプリンターによって生み出されたさまざまな材質の商品が登場している。
自動車や飛行機の部品といったあたりまでは想像するのも難しくないが、ヒトの身体や健康、食品にいたるまでと、3Dプリンターの活用は考える以上に広がりを見せている。

3Dプリンターで作成されている身近にあるものの例として、歯科でとられる歯型が挙げられる。
身体への負担がなく安価に、しかも個人の形状に合わせた精度の高い歯型を作ることができるという。患者は型が取れるまで口を開け続ける必要がなく、合わない入れ歯に悩まされる頻度も各段に下がるだろう。
また義足や義手の分野でも、3Dプリンターを応用した技術開発が進んでいる。各人の骨の形状に合わせ、装着部位にぴったりと収まる義足や義手があれば、新しい身体の一部にするためになじませる時間も短縮される。

同様に医療分野での3Dプリンターの活用は、目覚ましい進歩を続けている。
血管拡張に使われるステントや、人工気管、人工骨の研究では大きな成果が得られており、将来的には完全な臓器の作成も不可能ではないと見られている。


世界の食品業界も3Dプリンターに注目している。

スペインの企業ではピザやパスタ、ハンバーガーといった食品を出力できる3Dプリンターの販売を行っている。
食用3Dプリンターはその他にも続々と実用化されており、米粉、砂糖、チョコレートなどを原料とするものや、中には昆虫を原料とする食用昆虫3Dプリンターという驚きの製品も販売されている。
やがては一見自然素材と思われる商品が、3Dプリンターによって成型された食品だったという時代がくるのかもしれない。

食器や雑貨、家具、果ては一軒家にいたるまで、3Dプリンターによる「出力」が始まっている。
気づかないうちに3Dプリンター・プロダクトが、家の中の大部分を占めるようになるのも遠い話ではなさそうだ。


分野別3Dプリンター活用例

現時点で3Dプリンターの実用化に至っている分野には、次のようなものが挙げられる。

  • ・自動車
  • ・工場部品
  • ・食品
  • ・服飾
  • ・医療
  • ・建築

つまりはどの分野においても、今後3Dプリンターの活用抜きではいられないということなのだ。
例えば比較的初期段階から知られている建築の分野であっても、柱やドアといったパーツだけではなく、家の躯体そのものを3Dプリンターで製造できる時代が来ている。
海中施設や宇宙施設など、なるべくつなぎ目を作りたくない分野では、特に3Dプリンターへの期待が大きい。

3Dプリンターはごく一部分の重要な部品に利用されていることもあれば、商品そのものを作り出すこともできる。
あらゆる分野での利用が可能であり、時間とコストの削減には欠かせない戦略のひとつともなる。

3Dプリンターのメリットは、低コストでオリジナルの製品を作成できることにある。
そのため、特注の歯ブラシ、特注のインソール、特注のイヤホンといった個人商品の製造においても、利用価値は高い。

これまで実現不可能とされていたどのような形状も、今後は3Dプリンターによって現実でも可能としていくだろう。


フェーズ別3Dプリンター活用例

商品化されるまでの途中段階では、3Dプリンターを各過程なりの方法で活用している。
アイデアの創出やカタチになる前の検討段階で、以前はせいぜい図面やパソコンのモニター内までのイメージであったものが、立体として確認できるようになった。

製品開発や設計受注のプレゼンにおいても、3Dで見せた方がパワーポイントよりも説得力が増す。

設計フェーズでは、部品同士の整合性や干渉といった実際の利用状況に近いシミュレーションが可能となる。
外部に模型を発注する予算や時間が削減され、その分負担の少ないスピーディーな開発ができるようになった。

3Dプリンターで複数の試作品が作成できると、製造ラインに乗せる前段階で、より商品価値の高いものの選択がしやすくなる。
最終的な決定に至るまでのいくつもの過程で、選択肢に自由度がもたらされ、その分柔軟性が高く、かつ効率的に商品開発が進められる。


広がる3Dプリンターの可能性

3Dプリンターが普及し低価格化が進めば、個人宅で自由な造形が楽しめるようになる。
家族そっくりのフィギュアがどの家にも置かれたり、写真の立体象が飾られるようになったりするかもしれない。

一方で、より専門性に特化した3Dプリンターの開発が急激に進んでいる。
ハーバード大学とイリノイ大学の共同研究チームは、3Dプリント技術を使った極小のリチウムイオン電池の開発を行っている。目指しているサイズはなんと髪の毛以下だという。完成すれば活用の用途は限りない。体内で動く医療機器、虫のように飛び回る小型ロボット、コンタクトレンズ型のウェラブルデバイスも夢ではないだろう。

米エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所行っているのは、液体3Dプリント技術の開発だ。
液体のなかに液体を流しこむという新発想からの3Dプリント技術により、柔軟性があり伸縮自在の液体が出来上がるというのだ。これが完成し実用化が進めば、硬度があって当たり前と思われている電子機器やスマートフォンなどが、こんにゃく状になる可能性もある。
研究が進めば、衝突しても安全性の高い乗り物、地震でも下敷きになる心配のない家具の発明にもつながる。

3Dプリンターは単にデジタルから立体物を生み出すだけではなく、未来までをも形作っていくのである。


<参考・参照元>
えっこんなものまで!? 3Dプリンターが存在する以前はつくれなかったものたち | ギズモード・ジャパン
未来のガジェットはぐにゃぐにゃになる? 液体を3Dプリントするアメリカの研究 | ギズモード・ジャパン
3Dプリンターでここまで作れる!驚きの活用事例 20選 前編
3Dプリンターで作れるものは?用途を徹底解剖!~活用最前線|リコー

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