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高まる民間宇宙開発への投資熱!宇宙ビジネスの現状と日本企業の参入

今や宇宙開発は、大規模なビジネスを生み出す注目の市場の場と化している。
かつては国家プロジェクトであった宇宙開発が企業主導へと変遷を遂げ、多彩な分野へのサービスが展開されている。日本政府も大々的に、宇宙ビジネスへの資金投入を発表した。

民間宇宙開発の現状とその役割、将来の展望について解説する。


民間宇宙開発の市場規模と参入企業

月旅行や火星移住などSF世界の趣に満ちていたかつての宇宙物語は、すでに遠い過去の話となった。現在の宇宙開発とは民間企業が主役となる、ビジネスの商機に満ちた世界だ。
世界的な民間宇宙開発の市場規模は、2016年時点で約34兆円に達している。年に14%もの成長を着実に続ける優良市場だ。

宇宙関連市場の中でもっとも伸び率が高いのはデータを利用したビジネスで、全体の約70%を占めている。ロケットや人工衛星といった宇宙開発のイメージを象徴するインフラ事業は、6%程度に過ぎない。
宇宙開発ビジネスとひと口にいっても、ロケットや人工衛星を独自で開発する事業もあれば、そこから得られたデータを利用し、生活の利便性を図るサービスとして提供する事業もある。

ロケット関連事業を推進する企業としては米国のベクター・スペース・システムズ社を筆頭に、イーロン・マスク氏率いるスペースX社、ヴァージン・オービット社、One Web社などが有名だが、日本からも堀江貴文氏の率いるロケット開発ベンチャー企業インターステラ・テクノロジズ社が参入している。

人工衛星からの画像・各データを活用するリモート・センシング事業の分野では、米国のDigitalGlobe社、フランスのSpot Image社、日本の日本スペースイメージング社などが事業展開している。

宇宙の資源やエネルギー活用の分野ではまだ本格的なビジネスとして立ち上がっているものは少ないが日本の得意分野でもあり、三菱や日立などの大手企業のほかにも多くのベンチャー企業の参入が活発化している。


民間宇宙開発の果たす役割

実は宇宙はどこから線引きができるのか、明確に定義されているわけではない。
一般的には地球の大気がほとんど失われる上空100kmから先を宇宙と呼んでいるが、そもそもなぜ今日において民間宇宙開発が必要とされているのだろうか。その答えは、日常生活ですでに便利に使われているサービスの中にある。

人工衛星から送られてくる地表面の広範囲にわたるデータは、災害を防止するための天候予測や農業や漁業などの1次産業に大きな影響を及ぼしている。
さらに物流やイベント開催といったサービス業にも、欠かすことのできない情報だ。地形を知ることで都市計画、都市整備の精度が増し、安全な街づくりの基盤となる。

人工衛星を利用した高精度な位置情報の検出は、スマートフォン、カーナビ、配送や郵便、位置情報ゲームなど生活のあらゆる面に関わっている。こうした暮らしの中の利便性を確保するサービスについては、国家プロジェクトだけで補いきれるものではない。
企業の市場ニーズに向ける視点があってこそ、宇宙開発とその活用が相互的に発展していくのだ。

民間企業の宇宙開発産業が加速すると、価格競争が生まれる。安価に利用できる「宇宙サービス」が増加し、それだけ消費者に身近なものとなる。宇宙旅行が大富豪やセレブのものから、庶民の楽しみの一つとなる可能性が開けるのも、民間宇宙開発があってこそといえるだろう。


日本の民間宇宙開発

日本における宇宙開発は官主体で行われていたこともあり、各国から遅れを取ったと言わざるを得ない状況だ。宇宙ビジネス全体でも、約1.2兆円の市場規模にとどまっている。

日本政府は民間宇宙開発を推進することを目的とした、「宇宙産業ビジョン2030」を打ち立てている。
今後宇宙ビジネスに対しては1000億円規模の資金投入を実施すると発表しており、既存企業、ベンチャー企業問わず事業参画への支援が行われるという。

現行で宇宙開発に携わる企業は、前述のインターステラ・テクノロジズが小型ロケット開発と利用サービスを事業として推進しているが、他にも三菱重工業が同様の事業を行っている。
ロケット事業に関連し、姿勢制御のための計測器や断熱材といった特殊な部品供給を行っているのは川崎重工業だ。

国内の人工衛星の開発では三菱電機が有名だが、周辺部品の供給を行っている日本飛行機も日本の宇宙ビジネス発展に大きな役割を果たしている。
衛星からのデータを受信する地上システムでは、NEC、富士通といった通信に精通した企業がそのノウハウを宇宙開発に提供している。

航空機型の再利用型宇宙輸送機を開発しているのは、従業員数5名という愛知県のPDエアロスペース株式会社だ。
「マイ衛星」と呼べるほどの超小型衛星を安価・短期に開発・製造し、提供している株式会社アクセルスペースという会社もある。そのほかにも衛星からのデータ解析、提供などを行う、創業から間もないベンチャー企業の宇宙ビジネス参入が目覚ましい。


民間宇宙開発の未来

民間宇宙開発は官主体の事業ではできない、新発想によるさまざまなサービス提供へとつながっていく。
日本の宇宙開発の遅れは第二次大戦後の敗戦処理が絡む国家的な事情も原因の一つとなっているが、大規模な開発とは別の視点をもてば挽回していける可能性は大きい。

大学発ベンチャーのアクセルスペースでは、超小型衛星を大量に打ち上げ、それらを連携した地球観測に着手した。より精密なデータを得ることで可能となるサービス事業は、いくらでも見つかるだろう。

同じくベンチャー企業のエールでは小型衛星から「流れ星の素」を放出するという、まったく新しいエンターテインメントを企画している。
やがて数千にもなる衛星により、地球上には通信網がくまなく張り巡らされる時代が到来する。どこにいてもインターネットにつながり、自動運転システムやウェラブルデバイスの利用がごく当たり前となるだろう。

一方で日本のベンチャー企業アストロスケールでは、宇宙ごみ(スペースデブリ)を回収する事業に乗り出している。利便性が高まるにつれて発生する、数々の課題を解決するのもまた、宇宙ビジネスの一つだ。すでに宇宙ビジネスと一般人の暮らしには、目に見えない多くの接点が存在している。

今後も民間宇宙開発の動向が、個人のライフスタイルに大きく作用していくことだろう。


<参考・参照元>
宇宙産業ビジョン 2030 - 内閣府
(参考)世界の宇宙産業の現状
「超小型衛星」で新ビジネスを創る ――今、世界で「マイ衛星」の利用競争が激化 | Mugendai(無限大)
宇宙ビジネスとは~業界マップ、ビジネスモデル、注目企業、市場規模~ | 宙畑
日本政府1000億円を宇宙ビジネスに投入、勝機は? (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン

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