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22万人が登録の医師用SNS「キュロファイ」がインドでブレイク。医師のコミュニティづくりに寄与

インドで医師専用SNSのキュロファイ(Curofy)がブレイクしている。三人のエンジニアの夜中のコーヒーブレイク中に生まれたアイデアから始まったキュロファイは、医師たちの口コミを通じて瞬く間に広まり、今日までに22万人が登録する巨大SNSに成長した。キュロファイの実際を紹介するとともに、今後の展開を予想する。


深夜のコーヒーブレイクから生まれたキュロファイ

キュロファイはインド工科大学デリー校出身の3人のエンジニア、ニプン・ゴヤル、パワン・グプタ、ムディット・ヴィジェイヴァージヤが設立した医師専用SNSだ。患者を対象にサービスを展開するアプリは多数存在するが、医師を対象にしたものはほとんど存在しない。深夜のコーヒーブレイク中にアイデアを思い付いたという3人は、直ちにアイデアの実現に向けて動き出した。2012年のことだ。

それから3年後の2015年、キュロファイのSNSが正式にスタート。医師だけが使えるというSNSはインドの医師達の間でたちまち評判となり、リリース直後から利用者が一気に増え始めた。その後、ベンチャーキャピタルからの資金調達にも成功し、同社は開始から直ちに事業のテイクオフに成功した。


メディカルツーリズムでの苦い経験を糧に

実は、医師専用SNSを立ち上げる前、3人はメディカルツーリズムの仕事を行っていた。
インドは世界屈指のメディカルツーリズムの国だが、彼らの仕事は海外からメディカルツーリズムの客を集め、インド国内の病院とマッチングさせるというもの。
メディカルツーリズムの仕事は利益率が高く、それなりに儲かるものの、マッチングする医師を発掘するのが難しかった。医師の確保が思うようにできず、やがて3人はその仕事を辞めてしまった。

「医師のネットワークがあれば医師の発掘がもっと楽にできた」という経験から、3人は医師をネットワークするというアイデアを持ち続けていたようだ。それがやがて深夜のコーヒーブレイクで生まれたアイデアへとつながってゆく。

2012年から2014年までの間に3人は、1,000名以上の医師とミーティングを行い、医師達が何を求めているかを探った。
その結果、医師の仕事に役立つネットワークが存在せず、医師達はFacebookグループを使って情報共有をしていることがわかった。と同時にFacebookグループでは情報が整理できず、データのロスも発生するなど不便が生じていることも判明。それであれば、医師達のニーズを満たすSNSを作ればいい。2014年、彼らはキュロファイの開発に着手した。


累計25万件のケースディスカッションも

キュロファイのSNSの機能は、基本的にはLinkedInに近い。

利用者である医師はまず、自分の詳細なプロフィール情報をキュロファイに登録する。診療科目や専門分野などの情報を入力することで、他の医師から検索されるようになる。また、知人の医師を紹介したり、他の医師へ直接コンタクトしたりすることも可能だ。

グループを作ってディスカッションをすることも。特に症例研究や術前シミュレーションなどを検討するディスカッションは議論が盛んで、1日あたり500件、累計で25万件もの議論が交わされているという。

グループディスカッションとともに情報量が多いのがライブラリーだ。
ライブラリーは医師達が医療技術を進化させるために使われるもので、論文や学術誌、キュロファイのパートナーなどの複数の情報ソースから情報が集められている。

また、医師に対する各種のサービスプロバイダーとのマッチングも行われている。具体的には医師向けローン、医療機器、求人情報、医師向け保険、医療用医師決定サポートシステムなどだ。開業を希望する医師がその旨をキュロファイに投稿すると、それに応じたサービスプロバイダーが開業ローンの提案をしてくる。忙しい医師達にとっては非常に便利だろう。


AIを使った診断アシスト機能も

現時点で22万人の会員をかかえるキュロファイのSNSだが、今後もさらなる進化が期待されている。創業者ニプン氏はこう語る「キュロファイの最大のメリットは、医師達が行うディスカッションなどで蓄積される知識です。そうした知識にマシンラーニングやAIなどの新技術を応用すれば、革命的なものが生まれる可能性があります。」

AIを使って患者を診断する取り組みは世界各地で広がっているが、キュロファイのようにデータが毎日蓄積するケースでは有利に働くだろう。マシンラーニングも情報の質と量が求められるが、キュロファイが扱うデータが膨大になるほどマシンラーニングの精度も上がってくる。キュロファイは今後、間違いなくそうした技術を使って進化する。

インド最大の医師用SNSとなったキュロファイだが、今後はサービスの対象エリアを東南アジア、中東、アフリカへも広げてゆくという。いずれも医師が不足し、医師同士のコミュニケーションが不十分なエリアだ。

キュロファイが成功した理由のひとつには、インドという国の医療インフラストラクチャーが十分に整備されていないということもある。いわば発展途上国ならではの事情から生まれたヘルステックスタートアップといえなくもない。医師間の情報が十分に共有されず、それぞれの情報がサイロ状態になっていたからこそ、キュロファイがそれらをインテグレートできたのだ。


<参考・参照元>
How Curofy Is Creating A Robust Healthcare Support System In India

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